ゾウやコアラ、ウサギ、ライオンなど、ウインナーの動物たちが、海や花などの背景付きでストーリー仕立てのように紹介されている。
実用書のようでもあり、写真集のようでもあるのだ。
下北沢のヴィレッジヴァンガードのお弁当箱売り場に立てかけられてたその本を手に取るやいなや、レジへと向かった。
本書『ウインナーのかざりぎりBOOK』に登場するウインナーおじさんこと池原秀和さんは、伊藤ハムの営業マン。阪神大震災の後、神戸のスーパーに店頭販売のため週1回ほど通っていた。そこに、いつも同じ子が来ていたそうだ。
「おっちゃん、今日はなにを作ってくれるの?」
手先が器用な池原さんは、その子のリクエストに応じて何種類ものかざりぎりを作った。そして、各地のスーパーでお客さんの声に応えるべく挑戦しているうちに、レパートリーが増えていったのだそう。今では全国でかざりぎり教室や食育のイベントを行うなど、幅広く活動している。
写真を見ているうちに、作りたいという気持ちがムクムクと起こってきた!
そこで、池原さんに実際に習ってみました。タコさんウインナーすらろくすっぽ作れないわたしが、かざりぎりなんてできるのかしらと、半信半疑のまま教わることに。
まずはひまわりに挑戦。
「5ミリから1センチ間隔で、均等に切ってください。これ、性格が曲がっていると斜めになりますから」
「割り箸を使って、コツコツいうまでしっかり切るのがコツです」
池原さんによる容赦のないオヤジギャグ&関西弁トークに、思わず手がプルプルと震えてしまう。
「手が震えるでしょ?」
「はい」
「それが、作戦なんですよ」
おもしろいおじさんだ。いかんいかん、かざりきりに集中せねば。
「できましたー!」
「うーん、55点」
続いて、簡単だというウサギに突入。
まずは、ウインナーの3分の2くらいを斜めに切る。もう片方を薄く輪切りにして、V字に切り落とした残り部分が耳に。この2つのパーツを差し込むだけだというシンプルなものだ。目は黒ごまを使うのだそう。
「これ、幼稚園の子でも作れますから」
「ええー、ハードルが上がりますね」
「角度がポイントですよ。
最初のひと切りは緊張したものの、作り始めると意外とあっさりできてしまった。うん、余裕余裕。
池原さん作の愛らしいウサギと比べると、わたしのはカピバラにしか見えない。
でも、ぶさいくなのも愛嬌があっていいのです。なにより、作っていると楽しくて、笑顔になれる。
「かざりぎりは、伊藤ハムのウインナーでしかできませんよ」(池原さん)だそうなので、ウインナーとセット購入で、お試しあれ!(畑菜穂子)