むかーし昔、テレビの深夜番組の黄金時代というのがありました。それは平成がはじまる前後のこと、テレビ各局が24時間放送を開始すると、深夜帯はスポンサーなどによる制約が比較的少ないこともあって、低予算ながら実験的、意欲的な番組が次々と登場します。フジテレビの「カノッサの屈辱」はそのひとつです。1990年から翌年にかけて放映された同番組は、現代の流行の変遷を教科書的な歴史上のできごとになぞらえて話題を呼びました。いわば、望遠鏡をひっくり返すように近過去を振り返ってみたわけです。
さて最近また、「カノッサの屈辱」を彷彿とさせるような深夜番組が登場して一部で話題を呼んでいます。それがテレビ東京で昨年秋から放送されている「ジョージ・ポットマンの平成史」です。「カノッサ」がそうであったように、この番組でもまた、現代日本の流行や世相、社会現象に考察が加えられているのですが、その手法はかなりひねったものとなっています。
まず、イギリスCBBとテレビ東京の共同制作を謳い、ジョージ・ポットマンというイギリス・ヨークシャー州立大学教授をナビゲーターに、外国人の視点から現代日本が考察されているという点。ただし、CBBという放送局もヨークシャー州立大学もジョージ・ポットマンなる教授も実在はしません(「カノッサ」の仲谷昇教授というのが番組内だけの設定であったように)。その意味で、この番組はフェイクドキュメンタリーといえるかもしれません。あるいは、イザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』やポール・ボネの『不思議の国ニッポン』シリーズなど、日本人がなぜか大好きな偽外国人による日本論の系譜に位置づけることもできそうです。
ただ、番組はその回ごとのテーマに沿って、本物の当事者や研究者から証言などをとっているところは、ドキュメンタリーとしてきわめて真っ当だといえます。ただ、そのとりあげられるテーマというのが、「スカートめくり」や「白ブリーフ」だったりするのはやや異色ですが。それでも、ふざけたテーマだからといって、スタッフはけっして手を抜いたり、安易な笑いに走ったりはしません。
たとえば、第1回放送の「スカートめくり」の回では、取材対象の一人としてフランス文学者で性文化に関する著作も多い明治大学教授の鹿島茂が登場します。鹿島教授は「スカートめくりを考えるには、まず下着の歴史というものを順を追っていかねばならない。そもそもごく最近まで日本の女性はパンツを穿いていなかった」と発言、これを受けて番組では日本女性とパンツをめぐる歴史がひもとかれます。…