オリエント工業のラブドールを展示するイベント「人造乙女博覧会4」が、銀座ヴァニラ画廊で開催中だ(2014年8月5日から8月23日まで)。このイベントは、2007年の第1回を皮切りに、ヴァニラ画廊で定期的に行われている。

オリエント工業は、ラブドール業界の先頭をひた走る企業。そんな企業の「今」を展示するこのイベントは、いわば「ラブドールの進化」を定点観測できる場所でもある。ちなみに、「オリエント工業」「ラブドール」が何かわからない人は検索してみてくださいね。

前回(2012年)の「人造乙女博覧会3」に行ったときは、はじめてのラブドールとのふれあいにめちゃくちゃドキドキした(レポはこちら)。
驚いたのは、触れてみたラブドールのひんやりした冷たさ。ぴたっと吸い付くシリコン。
「ああ、人形なんだ……」。触ってみたおっぱいの感触は、意外とかたかった。
あれから2年。ラブドールの世界はどうなっているんだろうか?

今回の「人造乙女博覧会4」の展示室はAとBの2つ。Aではラブドールの歴史や実物展示を見ることができ、Bでは金型や映像のほかに、実際にラブドールに触れてみることができる。
展示室Aでは、最新のラブドールのみならず、過去のラブドールも展示してある。
特に目を引くのは1982年に作られた「面影」。オリエント工業の2作目にあたるドールで、ラテックス製。両腕両脚を取り外すことのできるデザインだ。最新のものと比べると「人間らしい」とは言えないが、当時としてはひじょうに革新的だった。
オリエント工業の作る「新しい」ラブドールたち。天使のようなかっこうをしている子もいれば、花魁めいた姿をしている子もいる。


彼女たちの姿をめいっぱい見たあとで、展示室Bに向かう。壁に飾られているのは、製造過程のラブドールの写真。まだ頭部をつけられていない、胴体だけのシリコンの体が、天井にぶらさげられて並んでいる。こ……この光景、『イノセンス』で見たぞ!?
奥には、以前使用されていた(現在は製造中止になった商品の)金型。目の前の金型のごっついイメージと、さっきの部屋で見たやわらかそうなラブドールたちとは、いまいちイメージがつながらない。

「本当にこんなので作られているんですか?」ヴァニラ画廊のスタッフさんに尋ねる。

「今はシリコンで作っているので、このタイプの金型はもう使っていないみたいですね。違う方法で型どりをしています」と写真を指差して教えてくれる。仕上げは丁寧な手作業なのだそう。化粧も一体一体異なるし、下の毛も一本ずつ植毛しているリアルさ!

スタッフさんのとなりには、2013年に発売された最新の「やすらぎ」が下着姿で座っている。
「さわってみますか?」
はい!
ウェットティッシュで手をふいて、そっとふれる。今回は意を決して胸から。


ふにっ。

!?

ふにふにっ。

!?!?!?
や、やわらかくなっている。記憶違いではない。確実に、2年前よりもやわらかくなっている!
「前回の展示でさわっていただいたのは『アンジェ』のシリーズ。いまさわっていただいている『やすらぎ』は、型どりやスキャンの技術が上がったので、よりリアルに進化しているんです」
確かに進化している。
前回が「モミモミ」だとすれば、今回は「ふにふに」だ。すごい。揉んでいるうちに、どんどん心が癒されていく。この子が家にいたら、一日中揉み暮らしてしまいそう……。
「お値段はだいたい60万くらいですねー」
なんか、買える気がしてきた。

進化しているのはもちろん胸だけではない。関節の動きもよりリアルになり、付属のネイルキットなどを使用すればネイルだって楽しめる。足も親指とその他の指が離れているのでサンダルなども履かせられるし、土踏まずもちゃんとある(ちなみに下の毛もある)。
何よりもびっくりしたのが、手のひら。なんと、手相が入っている! 親指のつけねのあたりの肉は、他の部分よりもやわらかい。手をつないだら気持ちよさそう。

オリエント工業は、ラブドール業界の頂点にいる。けれどその立場におごらず、この2年間のあいだにも、さらに進化したラブドールを生み出した。
日進月歩の技術、その結果としてのひんやりやわらかラブドールおっぱいだ!

「人造乙女博覧会4」は銀座ヴァニラ画廊で2014年8月5日から8月23日まで開催している(18歳未満は入場不可)。入場料は1000円で、ラブドールの歴史やインタビュー(社長・造形師・みうらじゅんほか)が載せられた特別パンフレット付き。8月9日には、ドールといっしょに写真が撮れる展覧会特別トークイベントも予定されている。
(青柳美帆子)