こんにちは、子供の時、吹奏楽サークルでホルン吹いていたぼくです。
下手くそすぎて、あっという間に幽霊部員になりました。

……吹奏楽における「下手くそ」ってなんだろう?

『響け!ユーフォニアム』は京都アニメーション制作の、吹奏楽部アニメ。
1話で高校に入学した黄前久美子が、先輩たちの演奏を聞いて言います。
「下手すぎる」

まずは、聞いてみてください。
響け!ユーフォニアム 第1話「ようこそハイスクール」(ニコニコ動画)
2分45秒からです。

うん、決して「上手く」はないよね。息漏れで音がピュッって飛んでる子もいるし。

けど、これって「どうしようもないへたくそ」なんですかね?

前列で聞いている子たちは「わーすごーい」という顔。喜んでるよ。
多分ぼくも、町中のパフォーマンスでこれを聞いたら足を止めると思う。
全く手に負えないレベルの演奏じゃない。
だけど、久美子にとっては「下手くそ」。

わかっている子の悩み


黄前久美子の通っていた中学は、京都府吹奏楽コンクールで金賞を取るほどの学校。彼女はそこで、ユーフォニアムを吹いていた経験者。

ただしダメ金(金賞だけど、さらに上の大会には出場できない)。

久美子が「下手すぎる」と高校の吹奏楽部に感じたのは
・ピッチ(音の高さ)が整っていない。
・リズムがあっていない。
各々に「そろえる」という意識が欠如している。

途中から川島緑輝(サファイア)という名門お嬢様学校でコントラバスを弾いていた子、楽器初心者の加藤葉月と合流します。
三人が見学に行くと、吹奏楽部は練習で音合せ。
「チューニングベー(B♭)」で全員が音を鳴らします。
一話の11分くらいのところ。
新人の葉月は、その音量に感動します。
一方、久美子と緑輝は、「下手」さに驚き、渋い顔で視線をあわせます。

本物の生ウニを食べた人は、そんじょそこらのウニを食べられない、というのと同じ。
今まで全国大会レベルの音を経験している二人には、ちょっと耐えられない。


3話では新しくやってきた顧問の滝先生の提案で、「海兵隊」を練習。
音の高低がぐちゃぐちゃになる。スピードに引きずられる。
揃わない音の中で、久美子は音酔いします。
漠然と感じていた「下手」を体感した瞬間です。

吹奏楽部あるある


Twitterを見ると、吹奏楽部経験者たちが悶絶していました。

「めんどくさいなあ」という空気が漂う部室のギスギス感。嫌な思い出として、あるあるすぎると。
練習しない人達、先輩後輩の不仲、抜けていってしまった先輩、先生の厳しい態度、顧問に逆らう生徒。
アニメではこんなガタガタな状態だから、音は揃わない。
3話までで、吹奏楽部全体が抱えるまとまりのない鬱憤が、蓄積しつづけています。
ここから快感に変わっていくまでは時間かかるぞー?

そこで重要なのが滝先生。
具体的に何が「下手」かをわかりやすく切り出します。
とりあえず、滝先生が聞いていた久美子たちの演奏「地獄のオルフェ」が、なぜダメ金だったか、何度も聞いてチェックしてみてください。
あるものが欠けている。
それを高校でつかんだとき、きっと快感になるはず。

(たまごまご)