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あなたはいつかおなごの社長になりなさい「あさが来た」76話

2015年12月25日 09時50分

ライター情報:木俣冬

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朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月24日(木)放送。第13週「東京物語」第76話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
イラスト/小西りえこ

76話はこんな話


牛鍋屋で、父・忠興(升毅)と弟・忠嗣(興津正太郎)と会ったあさ(波瑠)が、女性の社会進出について熱く語っていると、道ですれ違った男(福沢諭吉/武田鉄矢)が会話に参加してきて・・・。

男と同じで、女も遊びたい


福沢諭吉先生は、お店であさに気づくと顔を隠す。手ぬぐいでわざとらしく頭を覆うのは、見つかってまた話しかけられたら面倒と思っているというより、気づかれたい願望にも見えてしまう。武田鉄矢の福沢諭吉、なかなかお茶目なキャラクターだ。
結局、あさが「学問のすゝめ」に書かれたことを熱く語るのを聞き、黙っていられなくなって、親子団欒の中に割り込み、語りだす。さすが、福沢先生、隣の席のお客さんまで注目させてしまう、うまい語り。
男が遊びたいと思うのと同じく、女も羽を伸ばして遊びたいと思うことを大いに肯定する福沢先生。ってことは、男が妾をもつだけでなく、女も夫以外の男とも仲良くしてもいいということか。それが、五代(ディーン・フジオカ)の存在に象徴されているのか(遊んじゃいないが)。
福沢先生は「あなたはいつかおなごの社長になりなさい」とあさを励ますと、あわおこしを手にして店を出る。

青空文庫で「学問のすゝめ」を読むと、二編「人は同等なること」に、同等の例として「飴やおこしを売るもの」「飴やおこし四文の銭」などがあがっているが、関係あるのだろうか。
あさのお父さんには正体を気づかれそうになったが、あさにはまったく気づかれないまま、外に出た福沢先生の半身に、燦々と光が当たる。いい天気は、新しい日本の希望のようだ。
ところが、大久保利通(柏原収史)が暗殺された明治11年5月14日の朝、五代は「天気がよくないな・・・」とつぶやくのだ。
新しい日本の朝が文句なしの快晴になる日は来るのか。
大久保利通は、新しい日本をつくるのには20年かかると五代に語った。
そこから10年後、明治20年では、その2年前に内閣制度が発足している。
明治30年、その2年前に日清戦争が起っていた。その後も戦争は起る。

戦いなくして日本を強くする鍵は女性にありと思った大久保だったが、20年、30年経っても、その道はなかなか険しい。がんばれ、あさ。
今度は、大実業家・渋沢栄一があさの前に現れそう。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから
イラスト/小西りえこ

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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