連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第2週「常子、妹のために走る」第10話 4月15日(金)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓
結核も妾もNO「とと姉ちゃん」11話
とと姉ちゃん part1―連続テレビ小説 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版

妾問題勃発!
とと(西島秀俊)が勤めていた遠州浜松染工の社長(田山涼成)が、結核で亡くなった社員への援助金を出すことを打ち切ると言い出し、かか・君子(木村多江)は途方にくれる。
その噂を聞いた大家(山崎千恵子/崎の大は立)が、お手当をくれる男の人を紹介すると持ちかける。
遺族への援助金が出せなくなるほど、会社で結核による死者が出ているとは問題じゃのうと思うのと同時に、
江戸時代から明治にかけてのドラマ「あさが来た」で主人公を悩ませた妾問題が、昭和初期にもまだ女性を苦しませていることも重く受けとめたい。
とはいえ、朝ドラのパターンだと、この問題は翌日解決するはず。まして、次回は2週めの完結だ。この問題で3週まで引っぱりはしないだろうと思い、とりあえず保留にしておこうか。

そうしたら、12話のNHK総合での放送は熊本地震関連ニュースのためお休みになり、「12話を4月18日(月)8時から、続けて13話を8時15分から放送します。」とNHK編成のtwitterアカウントが発表した。


高熱を出して寝込んだ美子(子役・根岸姫奈)のために、嵐の夜、医者を呼びに行こうとする常子(高畑充希)に、女がひとりで夜出かけることを反対する君子。すかさず鞠子(相楽樹)が、ふたりで行くと言い出す。
西田征史は「女」だと不利なことを次々描き出し、この時代の男と女の差異を明確にしていく。妾の話題の出し方もそうだが、デリケートな問題をふわりとユーモアでくるみ、目くじら立てられない程度に話の流れに入れてくるところが、この作家の独自性であり、巧さのような気がしないでもない。人間になりたいと願う人間ではない者たちのドラマ「妖怪人間ベム」や、40歳でおひとり様の女の悲喜こもごもを描いた映画「小野寺の弟・小野寺の姉」、寝るとそれまでの記憶がなくなってしまう病を背負った青年の日々を描く映画「ガチ☆ボーイ」などでもその力は発揮されている。これを「優しい眼差し」みたいなことではまとめたくないので、これから「とと姉ちゃん」を見る課題にしたいと思う。


11話の、どうしたもんじゃろのぉ


大安売りの状況を緊迫感あふれる手持ちカメラで撮ったような画面にしたり、野菜を買おうとする常子を、野菜目線で左下から右下にキュッとカメラを移動させた画面にしたり、妾にについて話す君子と大家を、塀の穴超しに撮ったり、何かやろうという意思を感じる視覚的な演出。それだけに、ととが買った三人姉妹合作の絵が、大事なはずなのに微妙に傾いているのは、一家の状況がよろしくない表れだろうかと深読みしてみる。
(木俣冬)