連続ドラマ『女囚セブン』(テレビ朝日系)が2017年4月21日放送スタートした。『家政夫のミタゾノ』『奪い愛、冬』などと同じ金曜ナイトドラマシリーズ。

主演の剛力彩芽は、『グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜』『レンタルの恋』と深夜ドラマに連続出演している。深夜ドラマの女王だ。
「女囚セブン」剛力彩芽のアクションもっとください
キャプション:剛力彩芽『友達より大事な人』

あらすじ


ライバルの芸妓を殺し殺人罪で花園刑務所に入った神渡琴音(剛力彩芽)。しかし、その殺人は冤罪だった。
入所したばかりの琴音の世話を焼く坂本奈津(安達祐実)の罪は食い逃げの詐欺罪。琴音は、DV夫を殺したシングルマザー・市川沙羅(トリンドル玲奈)や、遺産目当ての後妻業をしてきたエロ女・津田桜子(平岩紙)から、さっそく新人いじめを受ける。

女の敵は女という思い込みをあぶりだす


女子刑務所ものに欠かせないことになっているのがいじめやいがみ合いのエピソードだ。
新人受刑者の琴音も、落とし穴に落とされ、勝手にラブレターを書かれ、ゴキブリ丼を食べさせられ、泥棒扱いされる。
沙羅と桜子、全身整形のナース・矢島千鶴香(橋本マナミ)は常にいがみ合い「ぺちゃパイ」「満たされない女」「エロ女」などと罵倒し合っている。

女子刑務所のいじめを描いたフィクションでは、韓国映画『親切なクムジャさん』(2005年)がショックだった。刑務所の魔女と呼ばれるボス的な女が、他の受刑者に自分の性器を舐めさせるシーンがあるのだ。
それに比べると、琴音が受けたいじめや桜子たちのケンカはこどもっぽく感じる。女子のいじめの“イメージ”そのもので、「女ってこわ~い!」「やっぱり女の敵は女だよね~」という旧時代的なリアクションを引き出されそうになってしまった。

世の中には、女同士のいがみ合いを見るのが大好きな人たちが意外といる。

『女囚セブン』の予告を見たときは、女に嫌われる女ポジションは橋本マナミ演じる千鶴香かと予想していた。しかし、それを上回っていく桜子役の平岩紙がすごい。

「え~! いや~ん!」
「満たされない女のヒステリーってサイアクゥ~!」
「モテない全身サイボーグが、な~んか言ってるぅ~!」
「あんたと違ってアタシは、“夜の匠”なのぉ~!」


首を細かく振りながら腰をひねり、甲高い声でワーキャーわめくエロ女、桜子。最初は演技が過剰でコメディが過ぎると思ったが、見ていると「確かにこういう女いるわ……」と錯覚してくる。

その他、政治資金規正法違反及び詐欺罪で服役している楠瀬司(山口紗弥加)は、英語と日本語をミックスして話すサバサバ女。千鶴香は被害妄想の整形メンヘラ女。
沙羅は口が悪く言葉を知らないヤンキー女。
コメディとして過剰に演技しているはずなのに「こういう女いる」と思えてくる。
それは、彼女らのような女が身近にいるからというよりも、「こういう女って嫌だよね」というインターネットや雑誌の記事によく出てくる典型的な架空の「女らしい女」だからかもしれない。女に対する自分の偏見をあぶりだされたようでドキッとさせられた。

剛力彩芽のアクションもっとください


『女囚セブン』の見どころは、女のいがみ合いだけではない。
第1話では安達祐実のセーラー服姿も話題になった。安達祐実、可憐だったなあ。

さらに今後も楽しみなのは、剛力彩芽のアクションシーンだ。

今回、剛力彩芽が演じる琴音が「野獣」と呼ばれる受刑者・山川(山崎静代[南海キャンディーズ])を制圧するアクションシーンがある。
合気道がベースになっているようで、細身の琴音が体の大きな山川をひらりひらりとかわして組み敷く。

琴音「うちは芸者やおへんえ、芸妓どす」

無口で無感情を貫いてきた琴音が、山川にまたがって見栄を切る。ハラハラするが、見ていて気持ちの良いアクションに仕上がっていた。
「女囚セブン」剛力彩芽のアクションもっとください
映画『ガッチャマン』(2013年)

2013年に公開された映画『ガッチャマン』で白鳥のジュンを演じた剛力は、共演した綾野剛に「ボディバランスが普通じゃないし、本当に楽しそうだった」と絶賛されていた。
それ以来、剛力にアクションを期待する映画ファンもいる。
南海キャンディーズのしずちゃんは1話のゲスト出演だったようだが、相手を変えて2話以降もぜひ剛力のアクションを見たい。ドラマ『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)のディーン・フジオカのように、毎回見せ場として謎にアクションシーンを入れてほしい。

第2話は後妻業エロ女のバックグラウンドか


琴音「罪は、犯す奴が悪いんやない。犯させる奴が、悪いんどす」

奈津は、幸せな家族のイメージに固執するあまり家族に不幸にさせられてきた。それを暴いた琴音は「悪いのは、あんたはんやない。
あんたはんをそこまで寂しい女にした“家族”どす」
と諭す。
これから、女囚1人ひとりの「罪を犯させた奴」を暴いていくストーリーなのだろう。

公式サイトのトップを飾るキャッチコピーは「腐った社会に、反撃だ。」
ワケあり女たちのバックグラウンドを洗い出し、連帯を築いていくドラマは『問題のあるレストラン』(フジテレビ)が記憶に新しいが『女囚セブン』はどうなるか。
置屋の女将に「あんたの選んだその道は、修羅の道やで」と忠告された琴音が、女たちとともにどうやって無実を証明していくのか。

今夜放送の第2話はエロ女・桜子との対決。
あの甲高いぶりっ子声を1時間も聞くのかと思うと頭がクラクラしてくる。でも、後妻業の背景は楽しみだ。

公式サイト:金曜ナイトドラマ『女囚セブン』

(むらたえりか)