絵本やおもちゃを乱暴に扱っていると「物を大切にしなさい!」と注意し、病院の待合室では「静かに待ってなさい!」と叱ったり……何回言っても聞かないため、ついつい小言が多くなってしまいませんか。
そんなママの多くは“しつけ=(イコール)叱る”になっています。
そこで、今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が、“叱らないでしつける方法”についてお話しします。
■しつけをスタートする“タイミング”が大切
子どもはお乳の吸い方は本能として持って生まれてきますが、“やっていいこと、悪いこと”のルールは全く知らずにこの世に誕生します。それを一つ一つ教えて行くのが、親の役目であり、本来の“しつけ”です。
年齢によって躾の基準も内容も変わりますが、例えば0歳の子が絵本を踏んだとき“赤ちゃんだから絵本を踏んでも仕方がないだろう”と何も言わなければ、赤ちゃんは“絵本は踏んづけていいもの”として学習してしまいます。
赤ちゃんが絵本の上をハイハイした時は、そっと絵本を取り上げて「おっと、絵本は踏まないでね」と教えていけば、絵本を投げたり、足で踏んづける2、3歳児には育ちません。
ところが「小さいから、まだ言ってもわからないだろう」と数年間許していると、絵本を踏むことに違和感を持たなくなります。
そして、もう3歳になったからと大人サイドの区切りをつけて急に「今日から絵本は踏んではいけません」としつけをスタートしても、それまで良しとされていたので、絵本を乱暴に扱います。子どもも今までの悪習慣ですんなり言うこと聞きませんから、親は「どうして踏むの! いい加減にしなさい!」と頭に角を生やして“叱る”事態に陥ってしまうのです。
■子どもに求める“ハードル”を下げる
おっとりしている子でも活動的な子でも、総じて子どもは集中力があまりありません。
好きなことには没頭しますが、病院の待合室でじっと座って待っていることは苦痛です。そんなとき、ママが携帯に夢中になり、子どもに対しては“どんなに退屈な状態でも心を無にしてじっと待合室で順番を待っている“ことを要求するのはハードルが高すぎます。
ですから、空いている時間に行くとか、子どもが好きな玩具や絵本の読み聞かせをするなど、一定時間待っていることが出来る工夫を大人側がしてあげるようにしましょう。
■“大人都合”で叱らない
例えば、お便りシール帳を幼稚園に置き忘れたことを、子どもが夜になって気が付き「幼稚園に取りに行く!」と大騒ぎしたとしましょう。
そんな状況の時、大人はこう思うでしょう。
・もう、幼稚園は閉まっているし、私も既に風呂に入りパジャマの状態で夜9時に取りに行くことは現実不可能である。
・翌朝、幼稚園にまた行くのだから、今、取りに行く必要もない。
・先生からの連絡欄は子どもの園での様子や家庭からの伝達事項を書く欄。
でも、これは“大人の都合”です。
子どもは毎日持って帰り、また通園カバンに入れて持っていきたいのです。今、あるべきものがそこにないと不安なのです。そもそも忘れてきた本人が悪いのかもしれませんが、まだ幼児なのでそこを責めても可哀想ですよね。
ですから、そんな時はこんな風に叱るのは止めましょう。
・なんでそんなワガママ言うの!今何時だと思っているの!これから取りに行けないでしょ!
・明日、幼稚園に行けばあるだから今日は取りにいかなくていいの!
・そんなに欲しいんだったら、一人で取りに行きなさい!(子どもがそれを出来ない状態だとわかっていて脅す)
本当は面倒くさくても状況が許せば取りに戻ってやった方がいいのです。でも、現実的にそうはいかない場合は次のように言ってみましょう。
・忘れてきて悲しいね。明日は忘れないで持って帰るようにしようね
・今はもう夜だし、幼稚園に取りに行っても鍵がかかっていて先生もいないの。だから取りに行けないのよ。
子どもの気持ちを理解を示した上できちんと説明してあげれば、最終的には納得してくれます。
いかがでしたか。
大人にとっては小さなことだったり理不尽なことで、子どもが騒いだとしても、頭ごなしに叱りつけずに、説明すれば子どももわかります。頭ごなしに叱らないようにしましょうね。
【画像】
※ Redkaya / Shutterstock
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【参考】
※ 立石美津子(2014)『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・専門家ライター。32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。