(東京 28日 中央社)「もっとたくさんの人に台湾を知ってもらいたい」

“台湾好き”が縁で知り合った出版社勤務の花澤亜希子さんから、日本統治時代から残る台湾の建物をテーマにしたコミックエッセイの執筆を打診され、準備を進めるうちにそう思った。

グルメやマッサージを紹介する本は多いが、歴史の本は“硬い”。
「売れるのかな」(おがたさん)という不安もあった。だが、東日本大震災以降、台湾への注目が高まる中で、これまでとは違った情報を発信したいと一念発起。花澤さんと二人三脚の現地取材を経て2014年7月に台北や台南などの名所を取り上げた「なつかしい日本をさがし台湾」を出版した。

結果は「スマッシュヒット」(花澤さん)。読者からは「知らなかった」「今までと違う見方で台湾に行けるようになった」との声が寄せられた。好評を受け、事実上の続編として今月に出版したのが「台湾で日本を見っけ旅」だ。
今年が戦後70年の節目であることや、台湾映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」のヒットに合わせ、日本人の移民村があった東部の花蓮・台東、映画の舞台になった嘉義などの名所を盛り込んだ。

交通の不便な場所もあえて取り上げた。おがたさんは「マンガを読んで行った気になってくれれば」と話す。取材を通じて日本と台湾の深いつながりが分かった。「ますます親近感が湧いた。日本のものを大切に残している人がいることをもっと知ってほしい」。
おがたさんはさらなる続編にも意欲をみせている。

(齊藤啓介)