8月20日、シンガーで俳優の平手友梨奈が、日本武道館でソロコンサート『アナタタチノカルテ』を開催した。ソロでのワンマンライブ自体は、昨年の『1st LIVE “零”』以来1年ぶり2度目。
バンドスタイルで創り上げた同ライブから彼女はどんな進化を見せたのだろうか。

【写真】平手友梨奈ソロコンサート『アナタタチノカルテ』のステージ写真【4点】

今回は総合演出に振付師・Seishiro氏を迎えつつ、彼女もCreative Partnerとして携わった。集まった観衆は相変わらず女性比率が高く、親子連れや海外からつめかけたファンの姿もあった。

現事務所代表が公式Xで事前に予告していた通り、舞台はライブとも、ミュージカルとも、劇とも呼べるような幻想的な世界で構築されていた。キービジュアルには散りばめられた花の中で目を閉じ横たわる平手の姿がある。そこから連想されるようなステージに実際に彼女が登場すると、女性ファンの悲鳴にも似た歓声が響き渡る。

アニメ『マリッジトキシン』(カンテレ・フジテレビ系)オープニング主題歌の『Kill or Kiss』では、黒くシックなパンツルックの中にも白いレースがあしらわれ、まさに王子様のような佇まいに。総勢30人近いダンサー、ポールダンサー、バンドメンバーを従え、惜しみない炎の特攻も駆使されるド派手な演出に、観ているこちらが気圧されるようだった。

彼女は2年前、公式YouTubeのインタビューで、1人のアーティストとしてダンスではなく歌を中心にと考えていた時期もあったと明かしている。また、昨年放送の『As I Am -平手友梨奈、気のむくままに-』(MUSIC ON! TV)では、スタッフから例えばソロとして武道館で歌うことについて問われると想像も出来ないようだった。

そんな彼女だが25歳となった今、ソロアーティストとしてゾーンに入ったように自信に満ちた表情で歌を、ダンスを、楽曲を大勢の仲間と届けている。覚悟を決めた彼女の表現は、どこまでも雄弁で果てが見えない。


全編オリジナル楽曲で構成された本公演では、攻撃的なダンスナンバーから、キュートなポップソング、切なさを纏った楽曲と平手の多彩な側面が映し出された。時に貴公子のように、貴婦人のように、可愛らしい少女のように。衣裳を変えるたび、いや衣装そのままでも、表情や仕草で変幻自在に主人公像を変え性別という概念を飛び越えていく。

本公演では劇作家が脚本を担当しており、バラバラに見える楽曲たちが朗読劇のように一つのストーリーを描いていく。彼女はどんな時も、人々が元来持ち合わせている孤独に寄り添おうとしているように思えた。

ダンスチーム、ポールチーム、バンドメンバーと創り上げる壮大な物語の中心には平手がいる。彼女が中央で輝きを放つほど、周囲もそれに呼応し、ステージ上の全員が一つの世界観を共有し観客を圧倒する。他者との共鳴によって自らの才能を最大限に解き放っていた。

最後に全員揃って観客に一礼する際、彼女の目にはこみ上げるものがあったようだ。まさに「座長」として、これ以上無いソロ武道館公演を完遂させた。

ソロになって6年、俳優業優先の空白を経て音楽活動を本格化させたのはここ2年。結婚という私生活の変化もあった中で、武道館公演を敢行すること自体、決して容易なことではない。
その奇跡のような本公演の様子は、CS「TBSチャンネル1」にて9月27日に放送される。あの劇的な空間に立ち合えた人も、そうでない人も、ぜひ平手友梨奈の今を見届けて欲しい。

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