レビュー

仕事でもプライベートでも、「この人は感じがいい」「また会いたい」と思う人がいる。そう思われる人と、そうではない人の違いは、小さな気遣いの積み重ねにあるのかもしれない。

本書は、その積み重ね方を教えてくれる。
著者の森田ゆき氏は、外資系企業で20年間役員秘書を務め、多くの経営者を支えてきた人物である。気遣いのプロとして、「仕事がスムーズになった」と高く評価され、引き抜きでの転職も経験した。本書では、ビジネスの現場で磨き続けてきた気遣いを、具体的なテクニックとして惜しみなく紹介している。
本書で特に印象的だったのは、「気遣いは伝わって初めて意味を持つ」という考え方と、その具体例である。著者によれば、エレベーターのボタンを押してあげるときには、「5階でしたか?」などとひと言添えたほうがいい。このひと言がなければ、相手は「たまたま5階が押してあっただけだろう」と思うだけで、ボタンを押した人の気遣いには気づかないからだ。
読み進めるうちに、「気遣いとは相手のためだけではない」と気づかされた。ちょっとした気遣いに相手が気づき、「ありがとう」と返す。その積み重ねによって信頼関係が育まれていくことこそ、本書が伝えたかった気遣いの本質なのだろう。
職場で信頼を得たい人、人間関係をより良くしたい人には特におすすめしたい。今日から実践できる気遣い習慣が満載で、人との関わり方が少しずつ変わっていくことを実感できる一冊である。

本書の要点

・気遣いの本質は、時間や判断、不安に関する負担を、相手が実感できる形で軽くすることである。
・詳しい話を聞きたい時ほど、いきなり質問しないことが重要だ。まずは相手の努力をねぎらい、安心感を与えてから質問すると、より深い話を引き出せる。
・会食はスタート前と翌日の対応が重要である。前々日までのリマインド、10分前到着、出迎え、そして具体的なひと言を添えた翌日のお礼が、次につながる信頼関係を築く。幹事にも会食から生まれた出来事を伝えれば、「やってよかった」と思ってもらえる。



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