太陽系外の地球型岩石惑星で初めて大気を発見、ヘリウムが流出していたことを確認
地球型の岩石惑星系外惑星LHS 1140 b(手前)Image credit:Melissa Weiss/CfA

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 地球から約48光年離れた太陽系外に、生命が存在できる可能性のある領域「ハビタブルゾーン」がある。この場所に存在する地球型岩石惑星「LHS 1140 b」の周囲に、初めて大気の存在が確認された。

 米ハーバード大学の研究チームは、LHS 1140 bのまわりから、大気を構成しているヘリウムというガスが宇宙へ流出しているのを検出した。

 この発見は、地球に似た組成や温度を持ち、生命を支える可能性のある惑星が、太陽系の外にも存在する可能性を示したものだ。

 この研究成果は『Science[https://www.science.org/doi/10.1126/science.aea9708]』誌(2026年7月16日付)に掲載された。

48光年先の地球型岩石惑星で大気の存在を初確認

 地球からくじら座の方向約48光年離れた太陽系外に、地球型の岩石惑星「LHS 1140 b」がある。

 米ハーバード大学の研究チームは、LHS 1140 bの周囲から大気を構成するヘリウムというガスが宇宙へ流出しているのを検出し、この惑星に大気が存在することを初めて確認した。

 LHS 1140 bは、赤色矮星(太陽より小さく低温で赤く光る恒星)である主星LHS 1140のハビタブルゾーンを公転している。

 ハビタブルゾーンとは、主星からの距離がちょうどよく、惑星の表面に液体の水がたまれる温度に保たれる領域を指す。

 液体の水は生命を支える条件のひとつとされるため、ハビタブルゾーンにある岩石惑星は生命を探すうえで有力な候補となる。

 研究を主導したハーバード大学のコリン・ケルビム博士は、大気は生命を支えるために欠かせないものであり、他の恒星のハビタブルゾーンを回る岩石惑星で大気が見つかったのは今回が初めてだと述べている。

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大気があるかどうかは長年の難問だった

 これまで天文学者は数千個の系外惑星(太陽系の外にある惑星)を発見してきた。

 主星のハビタブルゾーンにある岩石惑星もいくつか見つかっているが、大気を持っているかどうかを確かめることは、長年にわたって難しい課題として残されていた。

 ハーバード大学でケルビム博士を指導してきたロビン・ワーズワース教授は、20年前は地球のような岩石惑星が他にも存在するのかどうかさえわからなかったと振り返る。

 やがて岩石惑星は宇宙にありふれた存在だとわかり、ハビタブルゾーンの中にも見つかった。

 だがそれらの地球型惑星が大気を保ち続けられたかどうかはわからなかった。

惑星から流出するヘリウムを観測

 多くの惑星は、生まれたばかりのころは大きく、水素とヘリウムという2つの軽いガスを大量にまとっている。

 2つのうち水素は軽いため、主星の熱や主星が起こすフレア(爆発現象)によって先に宇宙へ逃げていく。

 水素が抜けたあと、惑星にはヘリウムが多く残り、大きな惑星は岩石と金属でできた小さな惑星へと縮んでいく。

 研究チームは、大きなガスの惑星から岩石惑星へ変化する途中の惑星は、水素が抜けたぶんヘリウムを多く含む大気を持つはずだと考えた。そして惑星の大気が時間とともにどう変化するかを計算し、どの惑星がヘリウムに富む大気を持つかを予測した。

 研究チームは、質量や半径、温度がわかっている系外惑星をかたっぱしから調べ、ヘリウムに富む大気を持つと予測される惑星としてLHS 1140 bにたどり着いた。

 ヘリウムに富む大気が本当にあるかどうかを確かめるため、研究チームはチリのラス・カンパナス天文台にあるマゼラン望遠鏡と、赤外線を波長ごとに分けて成分を調べる分光器で分析を始めた。

 惑星が主星の手前を横切るとき、主星の光の一部が惑星の大気に吸収され、大気に含まれる成分に応じて特定の波長の光が弱まる。

 2024年9月23日、研究チームはLHS 1140 bの周囲からヘリウムが流出していることを確認した。

同じ主星を公転する別の惑星との比較で大気を確認

 この日の観測には、好都合な条件が重なっていた。LHS 1140 bと、同じ主星を公転する別の惑星LHS 1140 cが、同じ夜にそろって主星の手前を横切ったのだ。

 2つの惑星がそろって主星を横切る機会は、次は少なくとも50年先まで訪れない珍しいものだった。

 研究チームが2つの惑星を観測すると、LHS 1140 bではヘリウムの流出がとらえられた一方、より主星に近く強く照らされているLHS 1140 cでは、ヘリウムの流出の形跡が見つからなかった。

 同じタイミングで2つの惑星を観測してLHS 1140 bだけにヘリウムの流出が現れたことは、観測の誤りではなくLHS 1140 bに大気があることを裏付けるものだ。

 研究チームは、LHS 1140 bの大気は30億年以上にわたって保たれてきたとみており、大気の成り立ちを調べるうえで貴重な対象だとしている。

安定した大気があるかどうかはまだ不明

 一方で、安定した大気が数十億年も続いてきたと断定するのはまだ早いという慎重な見方もある。

 フロリダ大学のジェイソン・ディットマン博士は、LHS 1140 bが安定した大気を持つのか、それとも大気のない岩石の惑星が時おりガスを放出しているだけなのかはまだわからないという。

 そのうえで、今後4~5年かけてジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、LHS 1140 bの大気に水の痕跡を発見できれば、安定した大気を持つ可能性が高いと述べている。

 研究チームも、ヘリウムの流出量が安定していないことを認めている。

 2024年にはヘリウムの流出をとらえたが、翌2025年の観測では検出できなかった。流出する量が時期によって変わっているのだ。

 それでもケルビム博士は、大気があること自体がわかったと述べており、大気の詳しい成分や、表面に海があるかどうかは今後の観測で調べていくとしている。

 現在のところLHS 1140 bに生命がいるとわかったわけではないが、生命が存在できる条件を調べるうえで最も有望な対象になった。

References: First atmosphere detected on a habitable-zone rocky world | Center for Astrophysics | Harvard & Smithsonian[https://www.cfa.harvard.edu/news/first-atmosphere-detected-habitable-zone-rocky-world] / DOI: 10.1126/science.aea9708[https://www.science.org/doi/10.1126/science.aea9708]

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