1970年代の東京、漫画家としてどん底にあった手塚治虫は、自身の戦争体験をもとにした漫画『紙の砦』を描き始める。少年誌の連載は打ち切られ、会社も倒産、すべてを失いかけたその時、なぜ手塚は“戦争”を描こうとしたのか。執筆に挑む70年代の手塚治虫と、『紙の砦』の主人公で戦時下を生きる彼の分身・大寒鉄郎。漫画を描くことに生を見出した2人の物語が、時代を越えて重なり合う。
俳優の高良健吾が手塚治虫を演じるほか、『紙の砦』の主人公で漫画を描くことに夢中な16歳の少年・大寒鉄郎を原田琥之佑が演じる。
音楽は映画『国宝』『流浪の月』、羽生結弦『Prequel : Before the WHITE』など多岐にわたり音楽を手がけた原摩利彦氏、漫画考証を手塚治虫の元アシスタント・三浦みつる氏、漫画監修をつのがい氏が務める。
メインビジュアルは手塚治虫のマンガ原稿が燃えているようなデザインに仕上げた。ネームを三浦氏、作画をつのがい氏が手掛けた。
【コメント】
■原摩利彦
あのような巨匠でもスランプがあったことが驚きました。本当に自分が描きたいものとは何かを考え、心の奥の方にしまっておいた思い出に目を向け直すことで不調の時期を乗り越えられたことに心を動かされます。 殴られたり、自由を奪われたりした戦時中の不条理を、ペンで漫画を描くことで作品へと昇華した手塚治虫。その姿を想像しながら、尊敬の気持ちを込め、そして手塚作品に見られる遊び心も忘れないように音楽を書きました。
■三浦みつる
「手塚先生の原稿が燃えている……!!」
今回このキービジュアルのために、台本から1シーンを抜粋して新たに3ページのラフネーム(鉛筆書きの下絵)を作り、つのがい先生にペン入れをしていただいたドラマオリジナルの原稿です。魂を込めて命懸けで描いた漫画が、夢や希望とともに戦禍によって踏みにじられ打ち砕かれる悲惨な戦争。それでも描き続ける鉄郎少年の漫画は、自分自身や周囲の人たちの生きる支えとなります。このドラマから手塚先生の平和を願うメッセージをぜひ受け取ってほしいと思います。
■つのがい
このたびメインビジュアルの制作に携わらせていただくにあたり、手塚治虫先生の原作を読み返しました。何度も読んできた作品でしたが、戦争という時代の無慈悲さや、それでも命を見つめ続けるまなざしが改めて胸に迫り、手塚先生の作品の奥深さをあらためて実感しました。
また撮影現場を見学させていただいた際には、スタッフ・キャストの皆さんが細部までこだわり、一つひとつのシーンを丁寧につくり上げていく姿がとても印象的でした。作品への真摯な思いが詰まったこのドラマが、多くの方に手塚先生の平和への願いや、戦争を生きた人々の思いを届けてくれることを願っています。
■田島彰洋 プロデューサー
手塚治虫と大寒鉄郎。逆境の中でも描くことをやめなかった二人の情熱。創作の原点となった少年時代のみずみずしさ。そして、時間も世界も異なる二つの物語。
このドラマを象徴する一枚とは何か。私たちがたどり着いたのは、「焼かれてもなお残る漫画」でした。原作『紙の砦』で、大寒鉄郎が描きためた漫画は戦争によって無惨に引き裂かれてしまいます。それでも漫画家になる夢を諦めない魂と、容赦なく降りかかる戦火。そのぶつかり合いこそ、このドラマにおける、手塚治虫の創作の原点を象徴するビジュアルになると考えました。
メインビジュアルの漫画原稿は、ドラマで描かれる青春のワンシーンを、手塚治虫先生の元アシスタント・三浦みつる先生にネームを起こしていただき、つのがい先生に作画していただきました。「先生ならこの一コマをこう切り取るはず!」。そんなこだわりが詰まった三浦先生のネームは、予定を大きく超える3ページに及びました。「ドラマの台本を読んでいたら、どんどん絵が浮かんでペンが止まらなかった」と笑顔で話される姿に、手塚治虫先生の創作の魂が、今も確かに受け継がれていることを強く感じました。
8月12日の放送に向け、ドラマの制作はいよいよ佳境を迎えています。手塚治虫と大寒鉄郎、二人の物語がどのように響き合い、一つの物語として紡がれていくのか。ぜひ放送を楽しみにお待ちください!
【あらすじ】
1973年、東京。漫画の神様・手塚治虫(高良健吾)は、会社の倒産と少年誌の連載打ち切りによって一転、どん底へと転落する。多額の借金と世間の「終わった」という評価に追い詰められ、創作への自信すら失いかけていた。そんな手塚の脳裏によみがえるのは、戦時中――漫画を描くことすら許されなかった少年時代の姿だった。
1945年、大阪。中学生の大寒鉄郎(原田琥之佑)は、軍事訓練と統制に縛られた日常の中で、ただ一人、漫画を描くことに心を燃やしていた。教師や同級生から「非国民」と蔑まれ、原稿を奪われてもなお、鉄郎の手が止まることはない。“漫画家になる”という夢に向かってまっすぐに生きる鉄郎。ふとしたきっかけで彼の漫画に触れた同級生・明石健司(久野渚夏)や女学生・岡本京子(野内まる)との出会いは、鉄郎の日常に小さな変化をもたらしていく。仲間との青春の日々の中、近づく戦火の足音は、かけがえのない日常をゆっくりと浸食していく――。
過去の記憶に触れながらも、それを描くべきか迷い続ける、手塚。戦争を描くことの意味、そして今の自分に何が描けるのか。交錯する二つの時代の中で、手塚の本能が目を覚ます。

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