腎臓病リスクを下げる食材は何か。肉の脂の摂り過ぎは禁物である一方で、体にいい働きをするヘルシーな油があるという。
内科医の工藤孝文さんが監修した『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)より、紹介する――。
※本稿は、工藤孝文(監修)、ホームライフ取材班(編)『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■毎日1~2杯の味噌汁なら高血圧にならない
腎臓の健康を保つには、動脈硬化を進行させる高血圧を避けなければいけない。血圧を上げる大きな原因のひとつは、食事による塩分の摂取。では、大さじ1杯に2g前後の塩分が含まれている味噌はどうなのか。
じつは、味噌汁を飲んでも高血圧にはならない、という研究がある。共立女子大学が行った研究で、3カ月にわたって、味噌汁を毎日2杯飲んでもらったところ、血圧が上がる傾向はまったく見られなかった。
大豆由来の発酵食品である味噌には、塩分を排出する有効成分も含め、約1500種類もの成分が含まれている。これらの複合的な働きによって、高血圧を引き起こさないと思われる。
具に野菜をたっぷり入れたら、腸内環境を整えたり、抗酸化物質を摂り入れることもできる。
毎日1~2杯の味噌汁なら、何も問題はなさそうだ。
■腎臓の働きを助ける味噌汁の具材
塩分はそれなりに多いものの、意外にも血圧を上げるリスクはないとされる味噌汁。では、腎臓の働きを一層助けるには、具材を何にすればいいのか。
栄養面から見て、いろいろなアプローチの仕方があるだろうが、食後の血糖値の変化を第一に考えるのなら、水溶性食物繊維が豊富な具材を選ぶのがおすすめだ。
一般的な味噌汁の具材として、まず考えられるのはワカメ。海藻ならではのヌルヌルが、食べたごはんの表面を覆って、腸での吸収をゆるやかにしてくれる。ナメコも水溶性食物繊維が豊富な食べもので、コクのある赤味噌との相性がいい。海藻やキノコは低カロリーなのもうれしいところだ。
ただ、すでに腎臓の機能が低下しているのなら、カリウムは控えたい成分。ワカメにはカリウムが多いので、食べ過ぎないように注意が必要だ。
■サラダ、豆腐、味噌汁にもおすすめの2つの油
普段、料理にどのような油を使っているだろうか。サラダ油しか買わないという人は、この機会に食用油の知識を身につけておこう。
正確にいえば、「サラダ油」という種類の油はないからだ。
サラダ油とは、菜種油(その一種がキャノーラ油)、大豆油、ひまわり油、コーン油などを調合したものだ。栄養学的には、大豆油やひまわり油、コーン油などは「オメガ6系多価不飽和脂肪酸」の一種である「リノール酸」が多く含まれる。
不飽和脂肪酸は、血液中のコレステロールを減らす作用や、血圧を下げる働きを持っている。しかし、リノール酸は摂り過ぎた場合、動脈硬化や心臓病のリスクを高めるとされるので、サラダ油も使い過ぎないほうが賢明だ。
家庭でよく使われる油には、ほかにオリーブオイルやキャノーラ油、ゴマ油がある。
オリーブオイルの成分の70~80%は、「一価不飽和脂肪酸」の「オレイン酸」。善玉(HDL)コレステロールを減らさずに、悪玉(LDL)コレステロールだけを減らしてくれる。酸化しにくく、加熱に強いのも特徴だ。
キャノーラ油にもオレイン酸が多く、成分の約60%を占める。ゴマ油にはリノール酸とオレイン酸がバランス良く含まれている。
ここまでが一般的な食用油だろうが、腎臓の機能をキープしたいのなら、ほかに強くおすすめできるタイプの油がある。
エゴマ油とアマニ油だ。エゴマはゴマとよく似た名だが、ゴマ科ではなくシソ科で、植物としての種類はまったく違う。
エゴマ油とアマニ油は、「オメガ3系多価不飽和脂肪酸」の一種である「α-リノレン酸」が主成分。血流を改善し、動脈硬化を防ぎ、血液中の中性脂肪を抑える働きもある。腎臓に集まっている毛細血管の元気を保つには、絶好の油なのだ。
ただし、酸化しやすい油なので、開封したら早く使い切ることが大切だ。加熱によっても酸化するので、サラダのドレッシング用に向いている。豆腐にかけるのもおすすめだ。味噌汁程度の熱さなら変化しないので、食べる前に数滴加えるのもいい。
■慢性腎臓病になるリスクを下げる食材
食べものから摂取する油は、植物性のものばかりではない。当然、肉や魚にも油は含まれている。
よく知られているように、肉の脂の摂り過ぎは禁物だ。
「飽和脂肪酸」というタイプの油で、摂取し過ぎると、悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化や心臓病の発症リスクを高めてしまう。
これに対して、ぐっとヘルシーなのが魚の油だ。エゴマ油やアマニ油と同じオメガ3系多価不飽和脂肪酸の一種、EPAとDHAがたっぷり含まれている。
どちらの油にも血液をサラサラにする作用があり、動脈硬化の進行を抑えて、心臓病の発症リスクを下げてくれる。
加えて、がんや認知症を予防する、皮膚のターンオーバーを促して肌の若さを保つ、炎症を抑えるといった体にいい働きもある。
さらに近年の研究によって、このヘルシーな魚の油には腎臓病を遠ざける効果もあると明らかになってきた。
約2万5000人を約11年、国際的な医療機関などが追跡調査。EPAやDHAなどの血中濃度と腎機能の関係について調べた。その結果、EPAやDHAの血中濃度が最も高いグループは、最も低いグループと比べて、慢性腎臓病になるリスクが13%低いことがわかった。
腎臓病にならないためにも、脂ののった魚を積極的に摂取するようにしよう。青魚と呼ばれる大衆魚に豊富なので、手軽に利用できそうだ。
身近な魚で最も多く含まれているのは、塩サバでおなじみのノルウェーサバ。
ほかにマイワシやマサバ、サンマにも多く、青魚以外ではマグロのトロ、アン肝などに豊富に含まれている。
気をつけたいのは、調理の仕方によっては油が流出しやすいこと。生食がいちばんで、汁ごと食べられるホイル焼きもおすすめだ。

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工藤 孝文(くどう・たかふみ)

内科医

工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。著書に『痩せグセの法則』(枻出版社)ほか多数。

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(内科医 工藤 孝文)
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