体の酸化を防ぐ、抗酸化作用のあるビタミンCを摂取する方法は何か。内科医の木内麻里さんは「ビタミンCを食事で摂るなら、緑黄色野菜などの色の濃い野菜がおすすめだ。
なかでもビタミンCが豊富に含まれる“推し”の野菜があるが、茹でたり焼いたりするより、栄養がムダにならない調理法がある」という――。
※本稿は、木内麻里(著)、日比洋子(監修)『その食べ方は栄養を吸収してません』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■摂りすぎたビタミンCはすぐ体外に排出される
ビタミンには、水に溶けやすい「水溶性」と、油に溶けやすい「脂溶性」があります。水溶性ビタミンのひとつが「ビタミンC」です。
ビタミンCには体の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。酸化とは、酸素と物質が化学反応を起こすこと。いわゆる“サビ”です。
私たちが呼吸を通して取り込んだ酸素の一部は、活性酸素に変化してしまいます。それが体のなかで増えると、血管や細胞を酸化させ、その機能を低下させてしまうのです。
また、酸化された食品を食べることでも、体内で酸化が進みます。ビタミンCにはこの酸化を防ぐ働きがあるのです。
そのほかにも、シミの原因となるメラニンの産生抑制やコラーゲン合成、免疫力アップなどの働きがあります。
アンチエイジングにも不可欠な栄養素です。
美容に気を使っている人、肌のシミが気になる人などは、ビタミンCをサプリメントなどで摂取しているかもしれません。ところが、ビタミンCは大量に摂取しても、吸収しきれなかった分は摂取後2、3時間で尿中に排泄されてしまいます。
ビタミンCの摂取率と利用効率の関係は、1日に30~180mgの摂取で吸収率70%、1日に1500mgの摂取で吸収率50%といわれ、摂取した量が多ければ多いほど吸収率が下がっていきます。
■たばこ1箱で500mgのビタミンCを壊す
では、たくさん摂ってもムダになってしまうのかというと、そうではありません。必要量を複数回に分け、こまめに摂ることがポイントです。
実は、ビタミンCは消費されやすい栄養素。たとえば、たばこは1箱で500mgのビタミンCを壊すといわれています。
また、副腎疲労症候群の人、ストレスがかかっている人も、体内でビタミンCを大量に消費します。徹夜や夜勤などでストレスが蓄積すると、ストレスに対抗するために、コルチゾールが副腎皮質から大量に分泌されます。
コルチゾールの合成の過程でビタミンCが必要なので、「ストレス過多→コルチゾールの過剰分泌→ビタミンCの消費が増える」という流れができてしまうのです。
ビタミンCは目の健康にも重要です。
目の水晶体や角膜、目のなかを満たしている水分である房水(ぼうすい)などにも高濃度に含まれていて、光刺激から守る働きもあります。そのため、白内障緑内障の予防のためにもビタミンCが有効といわれています。
ムダなく確実にビタミンCを摂るには、サプリメントという選択肢もあります。ただし、サプリメントを選ぶ際には、質のよいものを選びましょう。
なかには、配合されているビタミンCの量が少ないものもあります。「ビタミンCが1000mg含まれている」と謳(うた)っている商品もありますが、加工などを経て最終的な含有量が減っている可能性もあります。
また、市販されているサプリメントのなかには、糖質が多く含まれているものもあります。糖質を摂りすぎると、今度は別の問題が起こってきます。サプリメントを選ぶ際は、栄養成分表示を見て糖質量を確認するようにしてください。
■ブロッコリーは「ゆでる」より「蒸す」
ビタミンCを食事で摂るなら、緑黄色野菜などの色の濃い野菜がおすすめです。
なかでも“推し”はブロッコリー。ブロッコリーにはビタミンCが豊富に含まれています。
加熱調理をする場合は、加熱時間が短いほうがビタミンCは壊れにくくなります。
また、ブロッコリーはゆでて調理することも多いかもしれませんが、ビタミンCは水溶性なので、ゆでると流れ出してしまい、栄養分が減ってしまいます。
そこで重要なのが調理法。
たとえば、スープにして汁ごと摂るようにすれば、栄養がムダになりません。
レンジ調理でもビタミンやミネラルが壊れてしまうため、できれば鍋で蒸すなどして調理すると、栄養を余すところなく摂取できます。最近、話題のせいろ蒸しなどもいいですね。
ブロッコリーにはビタミンB群も多く含まれています。ビタミンB群も同じく水溶性なので、ゆでこぼさない調理法が適しています。
ちなみに、ブロッコリーは茎の部分のほうが栄養価が高いので、茎も摂るようにしましょう。
■便利なカット野菜の落とし穴
野菜をプラスしたいけれど、時間がないときに便利なカット野菜。
このカット野菜は下処理の過程で洗浄され、さらにカットされたあと殺菌洗浄されています。
もちろんこれは必要な工程です。
野菜が汚れていたり、変色して傷んでいたりしたら、商品として売り場に並べることはできません。また、野菜の食中毒も意外に多いもの。
しかし、カット野菜に含まれるビタミンCとビタミンB群などの水溶性のビタミンは、洗浄や加工の過程で流出してしまっている可能性が大。栄養面から見るとちょっと残念なのです。
これは袋詰めされたカット野菜に限らず、コンビニなどで売られている「海藻サラダ」「ポテトサラダ」などカップに入ったサラダの野菜や、「豚汁の具」など水煮になっている加工食品も同様です。
■野菜からは思ったほどアクは出ない
野菜で栄養を摂ることを考えたら、多少手間でも自分で野菜を買って、家で切って食べましょう。カット野菜である必然性がないのであれば、そのままの野菜を買うのがいちばんです。
家などで野菜を調理するときも、ひと工夫を。たとえばキャベツをせん切りにして水にさらすのではなく、一度大きめに切って洗ってからせん切りにしましょう。水にさらす面積を少なくするためです。
ほうれん草や小松菜なども、切ってからゆでるのではなく、束のまま丸ごとゆでてから切るほうが、栄養の流出を防げます。
水につけるのはあく抜きの意味があると思いますが、実はごぼうもれんこんもじゃがいもも、水にさらしてもさらさなくても、味はあまり変わりません(切ってから時間が経つと、色が黒ずむことはあります)。
野菜からは思ったほどアクは出ないものです。
■小さな栄養の貯金を積み重ねる
栄養監修の日比さんは、調理する際、さらさないほうが栄養価が十分に保たれると思う野菜はさっと洗う程度で、水にさらすことはほぼないそうです。
さらすのは、玉ねぎを生で食べるときくらい。アクが気にならない人は、水につける時間はなるべく短くしたほうがいいでしょう。
ただし、野菜についている土は調理する前によく洗ってください。洗うことで農薬が落ちる効果もあるといわれています。
ちょっとしたことですが、栄養摂取は毎日の積み重ね。小さな栄養の貯金でも、「塵(ちり)も積もれば山となる」のです。

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木内 麻里(きうち・まり)

金内メディカルクリニック副院長

医学博士。人間ドック健診専門医。日本医師会認定産業医。高濃度ビタミンC点滴療法認定医。
聖マリアンナ医科大学を卒業後、日本大学医学部第三内科に所属し、内科診療を中心に臨床経験を積む。その後、米国ハーバード大学医科学研究所に留学。消化器内科、糖尿病診療を軸とした内科医療に加え、予防医療やアンチエイジング医療にも取り組んでいる。

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日比 洋子(ひび・ようこ)

管理栄養士

オーソモレキュラー分子栄養医学協会認定栄養カウンセラー。管理栄養士として10年間、病院・介護施設で栄養管理・栄養指導を行った後、歯科・美容皮膚科・整骨院・内科クリニックなどで7000人以上の栄養相談・カウンセリングに携わる。現在はクリニックでの栄養カウンセリングを行う傍ら、セミナー講師としても活動している。

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(金内メディカルクリニック副院長 木内 麻里、管理栄養士 日比 洋子)
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