50代、60代の婚活市場が盛り上がっている。なぜなのか。
婚活スクールを運営する吉沢詩乃氏は「人生100年時代と言われる今、子育てがひと段落したり、仕事のゴールが見え始めたりする50・60代で、人生後半のパートナー探しを始める方が増加している。この“セカンドライフ婚活”は若い頃の婚活とは全くの別物。新たな視点が必要だ」という――。
■50代・60代の「セカンドライフ婚活」が激変
「人生後半、人生をともに歩めるパートナーがほしい」
そう願う50代・60代の男女が今、存在感を増しています。
人生100年時代、ライフスタイルの多様化や晩婚化に伴い、人生の後半で初めて積極的な婚活を経験する方が増えています。
加えて、50代・60代は再婚に動き出す方も多い年代です。国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、50代以上の再婚件数は年間で男性約1.9万件、女性約1.3万件。子育てがひと段落したり、仕事のゴールが見え始めたりしたタイミングで、「これからの人生を誰と、どう過ごすか」を真剣に考え直す人も増えているのです。
今年7月、私の運営するハイスペ男子総合研究所(以下、ハイスペ総研)でも「セカンドライフ婚活の実態に関する調査(対象は50代・60代の未婚者。n=3352)(注1)」を実施したところ、約5人に1人(19.5%)が「婚活中または婚活に関心がある」と回答しました。
しかし、多くの大人世代の婚活を見てきた私が感じるのは、50代・60代の婚活では、20代・30代の婚活とは、求められるマインドも戦い方も全く異なるという現実です。
特に、一度離婚を経験した「再婚組」の場合、「また失敗したらどうしよう」「周囲にどう思われるか恥ずかしい」という心理的ハードルが立ちはだかり、足踏みしてしまう人が少なくありません。

そこで今回は、最新調査から見えてきた「50代・60代のセカンドライフ婚活のリアル」と、再婚のハードルを越えて幸せを掴んだ事例、そして婚活が長引く人と成功する人の違いについてお伝えします。
※注1:【調査概要】2026年7月、全国の50代・60代男女を対象にインターネット調査を実施。全体回答数9624人。有効回答数240人(現在婚活中、または過去3年以内に婚活経験のある人)。調査主体:ハイスペ男子総合研究所(株式会社はんなり)
■主戦場はお見合いや婚活パーティーではない
「シニア層の婚活といえば、お見合いやパーティーなどのアナログな出会い」というのは、すでに過去の思い込みです。
調査結果を見ると、50代・60代が実際に利用している婚活手段の第1位は「マッチングアプリ」(51.3%)。結婚相談所(26.7%)や知人の紹介(27.5%)を大きく突き放し、半数以上がアプリを活用しています。
さらに興味深いのは、生成AI(ChatGPTなど)の活用実態です。婚活経験者のうち44.6%が「婚活でAIを活用したことがある」と回答。そのうち83.2%が「AIが役立った」と実感しています。
AIの具体的な使い道として多かったのは、以下の通りです。
1.相手へのメッセージ・返信文の作成(50.5%)

2.相手のメッセージの意図・感情の解析(35.5%)

3.プロフィール文章の作成・添削(35.5%)
特に注目したいのは、離婚経験(再婚組)のある人ほどAI活用に積極的というデータです。
離婚経験者のAI活用率は52.6%(未婚者は30.7%)と半数を超えていました。
再婚組は、「一度結婚に失敗しているからこそ、自分のコミュニケーションに慎重になりたい」「素直な気持ちを客観的に整理したい」という思いが強い。そのため、AIを単なる文章作成ツールとしてではなく、「感情の整理や客観的なアドバイスをくれる婚活の参謀(壁打ち相手)」として頼りにしている実態が浮かび上がってきます。
■再婚組に立ちはだかる「心理的ハードル」
一方で、セカンドライフ婚活において最も多くの人が挙げた課題は「そもそも出会いの機会が少ない」(47.5%)、そして「自分が良いと思う相手に出会えない」(40.0%)でした。
しかし、自由記述の声を深掘りしていくと、本当の問題は「出会いがないこと」そのものよりも、心理的なブレーキにあることが見えてきます。
・ 「年齢がもう若くないことや、うまくいかなかった時に周りからどう思われるかを考えると、恥ずかしさや気まずさがあり前に進めない」(55歳女性)

・ 「ずっと独身(あるいは一人)で過ごしてきたので、自分が今更本当に結婚したいのか分からなくなってきた」(51歳女性)

・ 「もう少し積極的に行動していれば違う結果になったかも、という後悔がある」(57歳男性)
大人世代の婚活を阻む最大の敵。それは、「過去の失敗体験から来る恐れ」と「世間体・プライド」です。
特に再婚希望者の場合、「前回の結婚生活でのトラウマ」や「条件のすり合わせへの恐怖」が先行し、一歩を踏み出す前に自らブレーキをかけてしまいがちです。
■離婚歴があったら再婚は難しいのか
離婚歴があり、子どもや親、住まい、資産などの事情を抱えやすい再婚は、やはり難しいのでしょうか。
現在未婚の婚活経験者を分析すると、パートナーに求める条件が「大きく、またはやや変化した」と答えた人は、初婚希望層では60.2%だったのに対して、再婚希望層では77.8%でした。
再婚を望む人ほど、過去の経験を通して、自分に必要なパートナーの条件を見直していることが分かります。
また、再婚希望層で子どもがいる人は41.3%。
初婚希望層の6.0%を大きく上回りました。再婚では、本人同士の気持ちだけでなく、子どもや親、住まいなど、すでにある生活との調整も必要になります。
しかし、ハードルが多いからといって、幸せな再婚ができないわけではありません。
ここで、ハイスペ総研が運営する恋愛婚活スクールの受講生で、50代で素敵なパートナーを手に入れた女性(Aさん・54歳・再婚)のエピソードをご紹介します。
■54歳女性が再婚に成功したワケ
Aさんは30代で離婚を経験し、10年以上をシングルマザーとして過ごし、女手一つで3人の子どもを育て上げてきました。子育てが落ち着き、「これからの人生をともに歩むパートナーがほしい」と婚活をスタート。しかし最初は不安からマッチングアプリを使いこなせず、苦戦していました。
そこで彼女は、相手の条件を増やすのではなく、まず自分自身の婚活への向き合い方を変えました。
長い間身につけていた「お母さんらしい服」から一歩踏み出し、これまでなら選ばなかった服装や髪型、メイクにも挑戦。周囲から褒められることで自信を取り戻し、スクール卒業後もアプリでの婚活を続けました。
そして出会ったのが、6歳年上の男性です。
初対面から感じたのは、強烈なときめきではなく、「この人になら何でも話せる」という安心感でした。

音楽、旅行、食べ物、インテリア、さらには愛犬の名前や犬種まで共通点が次々に見つかり、自然に距離が縮まっていきます。彼は花や果物を持って彼女の家を訪れ、娘たちとも温かい関係を築いていきました。
2人はどちらも再婚。6月にマッチングし、7月に初めて会い、その月末には婚約。そして年末に入籍しました。
彼女が見逃さなかったのは「相手を人に自慢できるかどうか」などではありません。「何でも話せる」「家族を大切にしてくれる」「一緒に出かけて楽しめる」という、これからの生活をともにするうえで本当に必要な要素でした。
■セカンドライフ婚活で苦戦する人の特徴
セカンドライフ婚活が長引く人の最大の理由は何でしょうか。それは、若い頃の恋愛観や結婚観をアップデートしないまま相手を探してしまうことです。
今回の調査でも、50代以降の結婚生活において最も重視されていたのは「精神的な安らぎ・安心感」(66.7%)。パートナーに求める条件の第1位は「性格・人柄」(72.9%)でした。つまり、20代・30代の頃に重視しがちだった「トキメキ」や、年収・容姿といった「条件」ではありません。

ですが実際には、頭では「安らぎが大事」と思いながら、行動レベルでは「なんとなくトキメかない」「エスコートが下手」と相手を切り捨ててしまう人もいるでしょう。これでは間口が狭まり、パートナー候補が現れません。
人生経験を詰んだ分だけ相手に厳しくなるのではなく、表面的ではない相手の良さを見出すことが重要です。ぜひ、大人世代の婚活ならではの“アップデート”をしましょう。
■セカンドライフ婚活を成功させる3つのコツ
では、セカンドライフ婚活を成功させるコツは何でしょうか。3つお伝えいたします。
①「トキメキ(炎)」ではなく「安心感(たき火)」を探す
20代の恋が燃え上がるような「炎のトキメキ」だとしたら、セカンドライフ婚活で探すべきは、じんわりと温かくなる「たき火のような安心感」です。
会った瞬間に胸がキュンとするか――ではなく、「沈黙が怖くないか」「見栄を張らずに話せるか」「一緒にいて疲れないか」を基準にするのがおすすめです。
②過去を「減点リスト」ではなく「望みのカタログ」にする
再婚希望者にありがちなのが、前の配偶者や過去のパートナーと目の前の相手を比較し、「この人も前のパートナーと同じ欠点があるかもしれない」「どうせ男性(女性)なんて……」と早々に判断してしまうことです。
しかし、過去の経験は、相手を切り捨てる材料としてシビアに追加していくのではなく、自分が望むものを知るためのデータとして使う方が幸せに近づきます。以下のように「嫌だったこと」を「相手に望むことのカタログ」に転換してみてください。
・「束縛されるのが嫌だった」なら、希望したいのは「適度な距離感」

・「お金のことで揉めた」なら、必要なのは単純な年収額ではなく「お金について率直に話し合える関係性」

・「家族問題で疲れた」なら、「親や子どもとの境界線を確認できる相手」
加えて、相手の振るまいを見て静かに“減点”するのではなく、必要なタイミングで穏やかに相手に「できればこうしてもらえたら嬉しいんだけど、どうかな?」などと伝えると、スムーズに関係を築きやすいでしょう。

■セカンドライフ婚活は「新たな価値観」で
③「年齢」を行動しない理由に使わない
先述の大規模調査の自由回答では、「もっと若いうちに決断すればよかった」「もう少し積極的に話せばよかった」という後悔の声がいくつも見られました。
婚活で最も取り戻しにくいのは「失敗したデートにかかったお金」などではなく「時間」です。チャンスは後から気づいても、時間は巻き戻せないもの。完璧な人だけをひたすら待ち続けるよりも、「可能性があるかも?」と感じた人に歩み寄ってみる勇気が大切です。年齢が気になる方こそ「今日が一番若い」というスタンスを大切に一歩踏み出しましょう。
人生後半の婚活は、出産や子育てを前提とした「家族をつくるための結婚」だけを目指すものではありません。得たいのは「お互いの人生を豊かにするための自分らしいパートナーシップ」です。
子育てや仕事に追われた方も、仕事に邁進した方も、これからは「自分のための人生」を歩む時間です。
「もう若くないから」「一度失敗しているから」と諦める必要は一切ありません。素直な心で一歩を踏み出せば、「今の私だから出会えた」と笑顔で言える、人生後半戦を一緒に笑って過ごせる最高のパートナーは必ず見つかります。
あなたの人生後半戦が、自分らしい幸せに満ちたものになることを応援しています。

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吉沢 詩乃(よしざわ・しの)

ハイスペ男子総合研究所 所長/はんなり代表取締役

東京外国語大学卒業後、リクルートに入社。結婚情報誌『ゼクシィ』や子育て・人材領域のメディアで法人営業を担当し、複数部門でMVPを受賞。2017年に独立し、恋愛・婚活支援に特化した「ハイスペ男子総合研究所」を設立。男女の思考・心理・関係性に関する独自の調査と研究を基に、婚活に必要な〈マインド・ビジュアル・コミュニケーション〉の三位一体型プログラムを開発。主宰する恋愛婚活スクール「総研アカデミー」は累計1080名以上の受講生を輩出し、幅広い年代の女性が結婚・良縁を実現。20代から50代の女性まで、年齢や環境を問わず“その人らしい幸せなパートナーシップ”を叶える支援を行っている。書籍『恋愛無双になる方法』『なぜ、彼女ばかりがハイスペ男子に選ばれるのか?』(ともに大和出版)は、書店やAmazonランキングで多数部門1位を獲得。メディア出演・連載・講演多数。

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(ハイスペ男子総合研究所 所長/はんなり代表取締役 吉沢 詩乃)
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