◆北中米W杯▽決勝 スペイン1―0アルゼンチン(19日、ニューヨーク・ニュージャージー競技場)

 【ニューヨーク(米ニューヨーク州)19日=ペン・金川誉、カメラ・山崎賢人】史上初の3か国共催となった北中米W杯決勝が、ニューヨーク・ニュージャージー競技場で行われ、スペイン(FIFAランキング2位)が前回大会覇者のアルゼンチン(同1位)を延長の末に1―0で破った。優勝は2010年以来4大会ぶり2度目。

延長後半1分に途中出場のFWフェラン・トレス(26)が決勝点を挙げた。FWリオネル・メッシ(39)を擁するアルゼンチンを完封し、優勝チームとしては大会最少となる8試合1失点。公式戦38戦無敗の新記録も打ち立てた。

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 青い夏の空に勝利を祝う歓喜の声が響いた。スコアは僅差だが、中身はスペインの完勝だった。中盤の攻守で絶大な統率力を発揮し、大会MVPに輝いたMFロドリは胸を張った。「最も厳しいW杯だった。なぜなら、史上最高の選手を持つアルゼンチンを破ったからだ」。優勝トロフィーを高く掲げた。

 今大会8得点を挙げ、“生ける伝説”であるメッシを擁するアルゼンチンをほぼ完璧に封じ込めた。ボール支配率65%と主導権を握り、相手の攻撃回数そのものを削る。さらに鋭い攻守の切り替えで自由を奪った。

それは次世代のエースとして君臨する19歳のヤマルらアタッカー陣も忠実に体現。アルゼンチンを前後半90分でシュート0本(延長含め2本)という圧巻の内容だった。

 延長後半1分の決勝点も組織の力でこじ開けた。右サイドでヤマルがパスを受けるとバックパス。フリーのDFポロがクロスを上げ、逆サイドでFWウィリアムスが折り返す。左右に揺さぶって中央にスペースを生み出し、最後はFWトレスが左足でネットを揺らした。

 スペインにはメッシや、準決勝で破ったフランスのFWエムバペのように、守備を免除されて攻撃に専念する「特権階級のエース」はいない。今大会は1得点に終わったヤマルを、デラフエンテ監督は称賛する。

 「彼はチームのために、自分を犠牲にすることをいとわなかった。それは、このチームが掲げる価値観の中で最も重要」

 絶対的な個の力を持つ選手であっても、ひとつの歯車として泥臭い役割を完遂する。それこそが最大の勝因だ。

 かつてU―23スペイン代表を率いて2021年東京五輪で銀メダルを獲得したデラフエンテ監督の下には、GKシモン、DFククレリャら当時の主力が並ぶ。

初優勝を飾った2010年南アフリカ大会は「ティキタカ(細かいパスをつないで崩すスタイル)」が代名詞だった。今や高い技術はそのままに、強度やハードワークを加えた現代的なスタイルへ。それを具現化できる教え子たちとともに頂点に立った。1失点での優勝は歴代最少の記録だ。

 これで代表戦は38試合負けなし。「今日の試合はほぼ完璧でした。このチームが歩んできた道のりと積み重ねた仕事は、私たちをさらに強いチームへと導いてくれるはずです」指揮官が描く未来には2030年のスペイン、ポルトガル、モロッコ共催W杯が待つ。日本にとっても理想像となりうる“無敵艦隊”が、世界を制して米国での航海を締めくくった。

 ◆スペイン代表 FIFAランク2位。W杯は13大会連続17度目の出場。同国1部バルセロナのパスサッカーを原型としたポゼッションスタイルが特徴。MFイニエスタ、シャビ、FWビジャらを擁した2010年南ア大会で初優勝。

欧州選手権は4度優勝(1964、08、12、24年)。14年ブラジル大会は1次リーグ敗退、18年ロシア大会と22年カタール大会は16強に終わっていたが、22年12月に就任したルイス・デラフエンテ監督(65)の下で復権。愛称は「無敵艦隊」。

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