◆サッカー北中米W杯▽決勝 スペイン1―0アルゼンチン(19日、ニューヨーク・ニュージャージー競技場)
サッカーW杯3大会に出場した元日本代表FWの岡崎慎司氏(現ドイツ6部バサラマインツ監督)が、スポーツ報知の特別評論「慎髄(しんずい)」を寄稿した。スペイン(FIFAランク2位)が決勝でアルゼンチン(同1位)を延長戦の末に1―0で下し、10年南アフリカ大会以来、2度目の優勝。
スペインは文句なしで圧勝だった。組織でアルゼンチンに余裕を与えない守備を遂行して、90分間の被シュートは0本。メッシがボールを触る時には必ず誰かが抑えた。ボールホルダーがプレッシャーを感じる2~3メートルの距離までプレスをかけて、(手薄になる)逆サイドに展開させない追い込み方がうまい。それがあるから、他の選手も自信を持って強くプレスできる。アルゼンチンも困ったら蹴るしかないっていう状況になっていた。理想の守備を見た。
主将のロドリは納得のMVPだった。ルイスやメリノが中盤から前線へ動き回る中、チームが安心するポジションを常に取り、中盤の底で攻守をまとめた。守備も佐野海舟やカンテ(フランス代表MF)のように横に動き回らず、どっしり構えるタイプで、体も強い。足はそこまで速くないけど、相手とガチっと当たった時に自分の後ろに行かせずに止められる安心感がある。
エムバペ(フランス)、ハーランド(ノルウェー)のような絶対的なストライカーはいない。でも、1トップのオヤルサバルが下りて、中盤4枚くらいでパスを回し、じわじわチーム全体で敵陣に迫るのがスペイン。中盤の選手がポケット(ゴール脇のスペース)に走ったり、相手選手の間(あいだ)、間に入っていくのは自然とできている。相手クリアボールを何度も拾い、2次攻撃、3次攻撃を続けて相手の体力を奪う。(絶対的な)ストライカーがいない時の解決策を見た気がする。
日本は、僕が(日本代表に)いた頃から「個が足りない」「ストライカーが必要」と言われてきたけど、中盤に点を取れる選手が何人もいるスペインは日本が目指すべき姿の1つ。組織で戦うなら、もっと組織にならないとW杯で勝てない。今後も選手が海外にどんどん出て個を伸ばす中、それが集まった時、共通のものをもっと作る必要がある。それがないと、どこかで引いちゃうと思う。一人ひとりがボールを失わないことは大前提にして、自信を持って「これが自分たちのサッカーだ」という強烈な組織、文化を作るのが大事だとスペインを見て感じた。
〇…岡崎氏は、今大会で8得点を挙げたアルゼンチンのFWメッシを「39歳という年齢と活躍度を見てもすごさが際立っている」と称賛した。自身もスペイン1部で対戦経験があるレジェンドについて「ボールを持った時のスピードは確実に遅くなっているのが分かる。それでも、相手に脅威を与えるのはすごい。サッカーってスピードじゃないのかなと思わされる部分はあった」と語った。
◆岡崎 慎司(おかざき・しんじ) 1986年4月16日、兵庫県生まれ。40歳。滝川二高から2005年にJ1清水入り。11年にドイツ1部シュツットガルトに移籍。同マインツを経て15年夏に英プレミアリーグのレスターに移籍し、15―16年シーズンにクラブ初のリーグ優勝に貢献した。欧州4か国でプレーし、24年シントトロイデン(ベルギー)で現役引退。日本代表通算119試合出場、歴代3位の50得点。W杯は10年南アフリカ、14年ブラジル、18年ロシア大会に出場。

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