J1開幕のG大阪戦(7日・パナスタ)を2日後に控えた5日、浦和の曺貴裁監督が取材に応じた。選手として在籍した古巣に戻り、湘南、京都に次ぐ3クラブ目の指揮を執る指揮官が、チームが目指すスタイルの輪郭と、現代サッカーの潮流について熱く語った。

 今季のチームづくりについて、曺監督はボール奪取とそれに続く攻撃の多様化の重要性を説いた。

「ボールをどこで奪う、と限定する時代ではもう間違いなくなくて。オールコート、奪えるところで奪えた方がいい時代になっている。もし、選手たちが皆さんのインタビューで、ボールをどこで奪うのか、という質問に、サイドです、とか相手コートのここです、と明確に答えられたら、僕の言いたいことは伝わっていないと思っています。奪うポイントははっきりとさせられないけど、奪った後のルートは、はっきりしているというか、そういうチームを作りたいと思っています」

「もちろんアタッキングサードで奪えた方が当然、得点の確率は上がりますけど、だからといって自陣ゴール近くで奪った時に、ゆっくり(攻撃)すればいいのか、と言えばそういうことではない。よくハイブリッド、と言いますけど、どこでボールを奪うかが、今のサッカーはかなり狭い局面から広がっていると思います」

 さらに攻撃の局面に目を向け、「自分たちが速く攻めるのか、ボールを動かして保持するのかも、10年ぐらい前はどっちかのチームっていうのがあったんですけど、もうどっちもないといけない時代になっている」と指摘。2025年優勝、そして百年構想リーグも東地区優勝とJ1で強さを示す鹿島を例に、その重要性を強調した。

「鹿島さんも、全てにおいて不足しているものがなかったチーム。引いても前でも守れ、ポゼッションでもカウンターでも点を取れた。ただ、最初から同じように(チームの色を)塗っていくのは不可能なので、チームとして少し尖ったものを作りながら、最終的には隙のないチームになることが勝利の絶対条件かなと思います」

 また、スペインが頂点に立った北中米W杯を振り返り、現代サッカーにおける戦術サイクルの目まぐるしい変化に言及した。

「この前のW杯(22年カタール)では、どちらかと言えばボールを持たざるチームが上位に行っていたけど、今回はベスト8同士の試合でも、パス数は多く、500から600、成功率も85%から90%ぐらいあった。これがいい、と思ってやっていることが、実は次の年には、あまり良くなくなるみたいな、そのサイクルの速さがある。

監督もアップデートしていかなきゃいけないんですけど、もう毎年かなり早い。変化に対応できないと、どの国も勝ち続けていけない」

 スペインの優勝は予想外だったと認めつつ、その組織的な完成度には強い刺激を受けた模様だ。

「彼らの隙のなさとかポゼッションの力、ディフェンスの力は想像以上でした。日本代表も森保監督の下でものすごく成長していますけど、当然だけど他の国も成長している。そのサイクルの速さに驚きました」

 変化を恐れず、進化を続けることの重要性を知る指揮官の下、浦和は新たなシーズンへと挑む。(金川 誉)

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