伝統河内音頭継承者の河内家菊水丸(63)が、9月9日に東京・代々木上原のムジカーザで4年ぶりとなる東京独演会を開催する。このほど、スポーツ報知の取材に応じ、意気込みを語った。

 現在は毎夏に約50か所を巡る「河内音頭スーパー盆踊りツアー」の真っ最中で、取材日前日は大阪・八尾市の盆踊り大会に参加した菊水丸。日中は38.5度、夜は30度超えという厳しい暑さの中での開催だったが、疲れは一切見せず。肌つやがいい、生き生きとした表情を浮かべていた。

 昨年の大阪・関西万博では大屋根リングで史上最多規模の8000人と盆踊りをした。万博熱が残る今年を「万博の余韻を味わう一年」と位置付け、その“千秋楽”として東京独演会を開く。

 昼の部では浪曲師・国本はる乃がゲスト出演する。それぞれ「乃木大将の伊勢参り」を披露し、河内音頭版、浪曲版を聞き比べすることができる。「東西落語を同じネタで一緒の日に続けてやる番組がある。それを僕はヒントにしました」と経緯を振り返り、「僕は浪曲と講談から輸入して『乃木大将の伊勢参り』の河内音頭版を作りました。それをまたはる乃さんが僕のネタを元にして、浪曲に“里帰り”する。どのように味付けされるのか、僕自身楽しみです」と胸を膨らませた。

 夜の部は侠客伝「祐天吉松」を口演する。

アルバイト情報誌「フロム・エー」の関東限定CM楽曲として脚光を浴びた「カーキン音頭」も35年ぶりに披露する予定だ。「♪カーカキン カーキンキン カーカキンキン カーキンキン」という印象的なフレーズと中毒性のあるメロディー。「昼間はゲストに入ってもらうので、夜は変わったことがいいんやないか、と思って。僕は全く歌ってないんで、稽古しないといかん。河内音頭は太鼓とギターでアドリブがほとんどですが、『カーキン音頭』って打ち込みでオケ。1か所つまづいたら先に進んでしまうのが怖い。その場合は、もう1回頭からやらせていただきたい」と話した。

 昼夜ともに約2時間の公演。夜の部終演後でも東京発-新大阪行きの新幹線の終電に間に合う時間設定にしているのは、大阪を中心に活躍する菊水丸らしい仕掛けだ。

 毎年7~8月の盆踊りシーズンは大忙し。自身の働き方を「2か月働いて、残り10か月冬眠するのが河内音頭」と表現する。転機が訪れたのは、2020年のコロナ禍。

各地の盆踊りが中止になり、2年間仕事が激減した。「何も見えていなかった。僕はひたすら諸先輩方とレコードや音源を聴いた。1日に3~5枚聴くことを日課にして。仕入れの時間にしていました」。腐ることなく、技を磨く努力を重ねた。昨年は念願だった大阪・関西万博での公演を成功に収め、「ただただうれしかった」と笑みがこぼれた。

 盆踊りを巡っては、ここ数年で大きな変化もあるという。ひとつがインバウンド客の増加。「特に東南アジアでは『盆ダンス』と知られていて、『本場の盆ダンスはどこで見られるんですか?』という問い合わせが増えています。しかも、皆さんうまいんですよ」。近年の酷暑による影響で稼働する期間が増えているという。

 「東京独演会が締めくくりだと当初は思っていましたが、熱中症対策で8月開催予定が10月開催にずれたものもあります。天気が良すぎて日にちを変える対策をする時代が来るとは、子どもの頃は思ってもみませんでした。日にち固定のお祭りもある。もしも(気温)50度に迫るような時が来ても、僕は冷えピタを貼りまくってでもやりますよ」。ステージがある限り、全身全霊で立ち続けることを誓った。(水野 佑紀)

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