◆JERAセ・リーグ 巨人2―0広島(21日・東京ドーム)

 巨人が鉄壁継投で広島打線を封じ込めて2連勝。カード初戦をものにした。

先発のスペンサー・ハワード投手(30)が5回3安打無失点。6回以降は堀田賢慎投手(25)、赤星、田中瑛、マルティネスが1イニングずつ0でつなぎ、今季11度目の完封勝ちを収めた。不振にあえいでいた4番のダルベックが3回に先制打。8回にも大城の適時打で貴重な追加点を奪った。阪神も勝ち3ゲーム差は変わらずも、しぶとく食らいつく。

 糸を引くような直球をミットに叩き込んだ。堀田の雄たけびに仕事の重さがにじんだ。1点差の6回2死一塁。長打が許されない場面でギアを上げ、5番・モンテロを外角ギリギリの147キロで見逃し三振。6月途中から18試合連続0封とした。完封リレーへつなぐ魂のリリーフ。「いいところで投げさせてもらえているので」と、対上位打線での起用を意気に感じた。

 5回無失点のハワードに代わり2番手で登場。勝田、ファビアンを宝刀のチェンジアップで封じ、坂倉に右前安打を許した後も動じなかった。25登板で防御率0・33。佐々木(ドジャース)、奥川(ヤクルト)らと同世代の19年ドラ1が覚醒の時を迎えた。橋上監督代行も「数字を見ても分かるようにすごく安定して自信に満ちあふれている。四球で崩れる感じもない。非常に大きく成長している」と目を見張った。

 青森山田から入団し苦節7年。昨冬に「呼吸法」を習得し進化した。弟子入りしたのは同僚の大勢。早朝1時間のストレッチから睡眠直前まで、常に息を吐く意識を浸透させた。脱力の重要性を教わったことで肩から肘にかけての可動域が広がり、投球時に右腕が後頭部と体のラインに隠れるようになった。

打者にとっては突然、球が出てくる感覚。今では就寝中も「呼吸が悪い」と目が覚めるまでにマスターし2か月以上にわたる快投劇につなげている。

 150キロ超の速球が主流な現代で、平均145キロの直球は被打率5分6厘と驚異の数字を生む。その背景にはウィニングショットのチェンジアップがある。投手を始めた中学2年時、沢村賞右腕・金子千尋(当時はオリックス)の特集を見て習得した。ストレートと同じ縫い目に中指と薬指をかけ「回転も真っすぐでいい」と鋭く腕を振ると直球と同じ軌道で急激にブレーキが利く。チーム上位のホップ成分を誇る直球と“遅球”のコンビネーションで相手を翻弄(ほんろう)している。

 流れに乗るように7回以降は赤星、田中瑛、マルティネスの継投でリードを死守。経験豊富な中川、船迫をブルペンに残したまま連勝した。強力救援陣を支える堀田は、故障離脱中の大勢から送られてきた「任せたぞ」のLINEを力にしている。「大勢さんも安心してテレビ越しで見てくれていると思う。今はいるメンバーで何とかしたい」。

開幕2軍からはい上がってきた男が逆転Vを狙う巨人に追い風を吹かせた。(堀内 啓太)

 ◆宮本和知Point 賢慎は自ら勝ち試合でのリリーフという立場をつかんだことが評価できる。前は真っすぐ、真っすぐのイメージが強かったけど、今はチェンジアップがいいし、メインになっている。自信を持って投げているし制球力もいい。本来は先発タイプで、将来はその座を狙ってほしい。私が投手コーチの時に(19年)ドラ1で入ってきたから思い入れのある投手。入団直後の手術から、よくここまではい上がってきた。でも、これからが大事。本物の1軍投手として貢献してほしいね。(スポーツ報知評論家・宮本 和知)

 ◆橙魂シリーズとは 2011年の東日本大震災の復興支援を目的に始まった。選手らが着用したオレンジ色のユニホームを慈善オークションに出品し、売り上げを義援金として被災地に寄付するなど、さまざまな支援活動を行う。25年は能登半島地震、能登半島豪雨の復興支援を目的の一つとし、富山、金沢を含む8試合で「橙魂ユニホーム」を着用。

編集部おすすめ