久しぶりに足を踏み入れた聖地は、やはり暑かった。18年ぶり17回目となる夏の甲子園取材。
駆け出しの頃、甲子園は勉強の場だった。支局では単独取材がほとんどだったが、甲子園では担当チームで動き、先輩から多くのことを学んだ。アルプススタンドで各校のエースや主力打者の家族、恩師、OBを探し回り、ネット裏ではプロ球団のスカウトを見つけてコメントを引き出す。当時を思い返しただけで58歳の気持ちは若返った。
担当の聖隷は初戦で佐野日大(栃木)に敗退。最後の甲子園取材は開幕2日目に終わった。大会注目の左腕エース・高部陸(3年)は1失点(自責0)で涙をのんだ。その1点は味方外野手のタイムリーエラーだった。慣れない照明か、浜風のいたずらか、まさかの落球。暑さ対策でナイター試合になった影響は少なからずあったと思う。
試合後のダッグアウト裏。失策した選手は涙を流しながら取材に応じていた。本当なら報道陣の前に立ちたくないと思ってもおかしくない。敗戦の責任を背負い、悔しさを押し殺して自分の言葉で誠実に受け答えをした高校生の姿を見て、心が熱くなった。(野球担当・塩沢 武士)
◆塩沢 武士(しおざわ・たけし)1992年から静岡支局でスポーツ全般を担当。取材した県勢の夏の甲子園通算成績は21勝17敗。










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