フランス・パリ近郊で2026年6月15日(現地時間)から開催されている防衛展示会「ユーロサトリ 2026」で、イタリアのレオナルドとドイツのラインメタルによる合弁企業、Leonardo Rheinmetall Military Vehicles(LRMV)が新型主力戦車「NMBT(New Main Battle Tank)」を公開しました。
この車両は、ラインメタルが近年発表した次世代戦車KF51「パンター」で示された技術コンセプトをベースに、イタリア陸軍向け次期主力戦車として再構成した提案モデルです。
NMBTを単なる戦車ではなく「欧州装甲戦力の新たな標準」と位置付けています。主武装は120mm L55滑腔砲を採用していますが、将来的な130mm砲への換装も考慮した設計となっています。さらに自動装填装置を搭載し、即応弾20発を用意することで高い発射速度と乗員負担の軽減を図っています。
ただし、この車両で注目されるのは主砲だけではありません。
近年のウクライナ戦争で顕在化した無人機の脅威と重要性を踏まえ、NMBTでは無人機との連携を前提に戦闘システム全体を設計しています。砲塔上部には30×113mm弾を使用する遠隔操作兵器ステーションを装備し、近距離防御や対ドローン任務に対応。さらに敵車両や陣地などに攻撃を加える徘徊兵器(Loitering Munition)の運用能力や、無人航空機(UAV)の直接統制機能も盛り込まれています。
主砲についても従来の直接照準だけでなく、誘導砲弾「Vulcano」を用いた非視界外(BLOS)射撃を想定しています。前方の無人機が目標情報を取得し、戦車側がその情報を受けて遠距離から攻撃するという、従来の「見て撃つ」戦車から、「ネットワーク越しに攻撃する」戦車への転換を強く意識した構成です。
車体側も次世代化が進められています。乗員は3名を基本とし、追加で専門任務要員1名の搭乗を想定。
防御面でも従来型戦車とは思想が異なります。装甲強化だけではなく、アクティブ防護システム(APS)、シグネチャ低減、地雷・IED対策、対ドローン防御、さらにエンジン停止状態でも最大8時間の監視任務を行える静粛監視機能(Stealth Watch)を統合。電子戦やサイバー攻撃環境での運用も前提に設計され、車内システム全体はNATO標準のデジタル車両アーキテクチャ(NGVA)に対応するとしています。
今回の展示車はまだ量産仕様ではありませんが、欧州戦車が今後どこへ向かうのかを示す試金石といえそうです。砲・装甲・機動力だけを競う時代から、無人機や徘徊兵器を組み込み、戦場全体を情報ネットワークとして扱う方向へと重心が移りつつあることを強く意識した車両となっています。

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