主役は「人間」! 広大なフラットフロアを実現するための究極配置

 一般的な乗用車では、ボンネットの中にエンジンがある「前エンジン」の形式(FFやFR)が主流です。

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 しかし、日本の一般的な大型路線バスや高速バスの多くは、エンジンを最後部に搭載して後輪を駆動する「RR(リアエンジン・リアドライブ)」方式を採用しています。

 この配置を採用する最大のメリットは、車内の床を限りなく平坦に、そして低くできることです。もしエンジンが前や中央にあると、駆動装置や補機類などの配置のために床下空間の自由度が制限され、車内に段差や張り出しが生じやすくなります。

 エンジンを最後部に「追いやる」ことで、運転席のすぐ後ろから車両後方まで、広々としたフラットな空間を確保できるようになりました。これにより、一度に多くの乗客をスムーズに運び、車内での移動の安全性も高めることができるのです。

 また、騒音源であるエンジンを客席から遠ざけ、運転士の視界を妨げるボンネットを排除できるなど、RR方式は大型公共交通機関にとって理想的な解といえます。

 しかし、かつてのバスは今とは全く違う姿をしていました。なぜ「前」から「後ろ」へと大移動が起きたのでしょうか。

「ボンネットバス」が消えた理由 効率を突き詰めた進化の歴史

 昭和の時代、バスといえば鼻先の長い「ボンネットバス」が代名詞でした。当時はトラックのシャシーをベースにしていたため、エンジンが前にあるのは当然のことだったのです。

バスのエンジン、なぜ「後ろ」? 乗用車とは真逆の“RR”が主流になった「逆転の発想」とは
今のバスはエンジンは最後尾にある(画像:写真AC)

 ところが、都市部の人口が増え、より多くの輸送力が求められるようになると、ボンネットの存在がネックになります。車体全長に対する「客室面積」を最大化するために、エンジンを床下や後部へ移動させ、運転席を最前端に置く「箱型(キャブオーバー)」への進化が加速しました。

 1950年代以降、日本では日野や三菱、いすゞといったメーカーが、フロントエンジンや床下エンジンに続いて後部エンジンのバスを相次いで投入し、本格的にRR方式の開発・量産を進めました。

 技術的な難所だった「遠く離れた運転席からのギアチェンジ」などの課題をリンク機構やパワーアシストで克服していく中で、現在のような「床が低くて広いバス」が主流となっていったのです。

 近年では、さらに床を下げた「ノンステップバス」の普及により、エンジンを最後部に縦置きしたり、横に寝かせたりと、さらなる高密度な配置技術が磨かれています。

 普段何気なく乗り込んでいるバスの広い床。その足元には、一歩でも段差を減らし、一人でも多く乗せようと奮闘したエンジニアたちの知恵が詰まっているのです。

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