日本、イギリス、イタリアが共同開発する次世代戦闘機「GCAP」の就役目標は2035年です。しかしイギリスでは、それより8年も早い2027年に、新たな無人戦闘航空機を飛ばす計画が進んでいます。
2026年7月に開催されたファーンボロー国際航空ショーで、イギリスのBAEシステムズは新たな無人戦闘航空機「ブロンタックス」を公開しました。会場に展示されたフルスケール模型は、ステルス性を意識した独特な形状で、一般的な無人機とはかなり違う姿をしています。BAEシステムズによると、実機の空虚重量は5トン以上で、胴体内部には兵器などを搭載できるスペースも設けられています。
イギリスは現在、日本、イタリアとともに次世代戦闘機「GCAP」を開発しています。GCAPでは有人戦闘機だけでなく、無人機などを組み合わせた戦闘システムも想定されていますが、ブロンタックスはGCAPそのものの試作機ではありません。英国政府は同機を「運用コンセプト実証機」として使用する方針で、無人戦闘航空機を実際にどのように使うのか、その運用方法まで確かめる役割を担います。
そのため開発スケジュールもGCAPとは大きく異なります。BAEシステムズによると、2026年第3四半期末までに機体へ電源を投入する「パワーオン」を実施し、2027年前半に地上試験、同年後半には飛行試験を始める計画です。2035年の就役を目指すGCAPより8年も早く、イギリスは有人戦闘機と無人機を組み合わせた新しい運用の実証に乗り出します。
最初の相棒はGCAPではなく「タイフーン」なぜGCAP開発中に、別の無人機を先行させるのでしょうか。その背景には、イギリス空軍(RAF)が進める「ストームファイター」と呼ばれるCCA(協調戦闘航空機)の導入計画があります。
ブロンタックスは、その新しい戦い方を実際の空で試すために使われます。BAEシステムズは2027年に予定されているNATO演習「ステッドファスト・ディフェンダー27」で、ブロンタックスとタイフーンを組み合わせた有人・無人協調能力を実証することを目標としています。発表時に公開された映像では、1機のタイフーンと複数のブロンタックスが一緒に飛ぶ姿も描かれました。
つまりイギリスは、2035年にGCAPが登場してから有人機と無人機の連携を始めるのではなく、現在運用しているタイフーンを使って先に経験を積もうとしているのです。RAFはストームファイター計画を通じ、2030年より前にCCAによる初期作戦能力を獲得することを目標としており、ブロンタックスによる実証で得られた知見も、将来の実戦用CCAへつながっていくことになります。
“無人僚機”だけじゃない! さらに空母運用まで?ブロンタックスで想定されている運用は、有人戦闘機の横について飛ぶ「無人の僚機」だけではありません。BAEシステムズは、有人機との協調に加えて、地上から任務を与えたり、有人機から独立して運用したりすることも可能だと説明しています。つまり、タイフーンや将来のGCAPについて飛ぶ“僚機”にとどまらず、より独立性の高い運用も想定されているのです。
さらに将来の発展先として、空母からの運用まで検討されています。BAEシステムズによると、すでにデジタル技術を使って空母との適合性をシミュレーションしており、ブロンタックスの派生型で発着艦要求に対応できる可能性があるとしています。
これはイギリス海軍の「クイーン・エリザベス」級空母がカタパルトを持たないことを考えると興味深い話です。一方、実際に艦載機とする場合には、着艦時に機体を停止させる装置への対応や機体構造の補強なども必要になるとBAEシステムズは説明しており、現時点で空母型の開発が決まったわけではありません。
RAFはCCAの導入を、GCAPへ向かう「足掛かり」と位置付けています。2027年にブロンタックスを飛ばしてタイフーンとの連携や新たな運用方法を試し、その経験を将来のCCAの戦力化へつなげ、さらに2035年のGCAPへと進む流れです。つまりイギリスは、GCAPの完成を待ってから新しい戦い方を始めるのではなく、まず現在のタイフーンとブロンタックスを組み合わせ、有人機と無人機が一緒に戦う方法を一足早く身につけようとしているのです。

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