釣り好きなら、一度は釣り具店で働く姿を想像したことがあるかもしれない。好きな道具に囲まれ、釣りの話をしながら働く。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
憧れの仕事像
釣り具店スタッフという仕事には独特の魅力がある。何よりもまず、毎日釣り道具に囲まれて生活できるという点は大きい。新製品のロッドやリールが入荷し、最新ルアーも誰より先に見ることができる。
釣り人からすると、それだけでかなり楽しそうに映る。さらに来店客も基本的には釣り好きである。昨日の釣果、最近の状況、新製品の話など、会話の中心も自然と釣りになる。
実際、釣り具店で店員と話し込んだ経験がある人は多いと思う。何が釣れているか、どのルアーが良いか、どこのポイントが調子良いか。そうした情報交換も含めて店そのものが一つのコミュニティになっている側面がある。
また、現場経験が豊富なスタッフも多く、話を聞くだけで勉強になることも少なくない。
実際は体力仕事
ただ、実際の業務を見るとかなり印象は変わる。
まず想像以上に肉体労働が多い。店に並んでいる商品は小物ばかりに見えるが、裏側には大量の段ボールがある。オモリ、ライン、ルアー、リール、ロッドケース、クーラーボックスなど、一つ一つは軽くても量になるとかなりの重量になる。
大型店舗になればなおさらである。大量の商品が入荷し、それを棚へ並べる作業が毎日のように発生する。
さらにロッドの陳列や売り場変更もある。商品点数が非常に多いため、整理するだけでもかなりの労力だと思われる。
そして接客も続く。初心者なら何を買えばいいか分からないし、ベテランならかなり細かい質問をすることもある。釣りという趣味自体がジャンルの広い世界であるため、対応範囲もかなり広くなる。
休日や連休前は特に忙しそうである。
上下関係の存在
仕事である以上、人間関係も当然存在する。
店舗によって雰囲気は違うと思うが、上下関係が厳しい話を耳にすることもある。特に販売業は一般的に先輩後輩の文化が強い職場も珍しくない。
さらに釣り業界そのものも、経験や知識が重視される部分がある。例えば新人が入った場合、ルアー、エサ釣り、船釣り、磯釣り、鮎など、幅広い知識を覚える必要がある。覚える量はかなり多い。
しかも商品知識だけではなく、地域ごとの釣り場情報やシーズン変化も必要になる。客から突然、この時期の大阪湾なら何を狙えばいいか、今アジは入っているか、どのカラーが良いかと聞かれることもあるだろう。そのため単純な接客業以上に、覚えることの多い世界なのかもしれない。
趣味と仕事の違い
結局一番大きいのはここだと思う。好きなことと、好きなことを仕事にすることは少し違う。
ライトゲーム好きでも、船釣りの質問を受けるかもしれない。シーバスしかやらなくても、磯釣り用品を聞かれることもある。さらに、好きだから始めたことでも毎日になると感覚は変わる可能性がある。
休日に純粋に釣りへ行くつもりが、気付けば仕事目線で新製品を試していたり、釣果情報を集めていたりすることもあるかもしれない。もちろん好きだから続けられる部分は大きい。
しかし好きだけで続くほど仕事は単純ではない。だからこそ、長く現場で働いている釣り具店スタッフを見ると、単なる釣り好き以上の努力をしているのだろうなと思うのである。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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