ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――夏の新潟開催も、早くも最終週。フィナーレを飾る重賞は、サマー2000シリーズ第5戦のGⅢ新潟記念(8月30日/新潟・芝2000m)です。

大西直宏(以下、大西)長くハンデ戦で行なわれ、波乱含みのレースとして知られていた夏の新潟の名物重賞。それが、昨年から別定戦で行なわれることになりました。長い直線を有して秋の大舞台にもつながりやすい条件とあって、もともとさらなる飛躍を目指す有力馬が始動戦に選ぶことが多かったのですが、昨年からはそうした傾向がより顕著になり、いきなりエネルジコ、ブレイディヴェーグといったGⅠ級の馬が顔をそろえました。

 そして今年は、その昨年をさらに上回る豪華メンバーが集結。なんと、GⅠ馬が5頭も名を連ねました。出走全11頭中、約半分がビッグタイトル保持者という顔ぶれとなり、今後のGⅠ戦線を占ううえでも目が離せない一戦となりましたね。

――それら実績馬が保有するGⅠタイトルを見てみると、NHKマイルC(東京・芝1600m)、桜花賞(阪神・芝1600m)、オークス(東京・芝2400m)、秋華賞(京都・芝2000m)、菊花賞(京都・芝3000m)など、実に多彩です。

大西 それだけ多くの陣営が、この舞台をのちの大目標に向けてちょうどいい"叩き台"と捉えているのではないでしょうか。

 たとえば、GⅠ天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)を見据えている場合、叩き台としてGⅡオールカマー(9月20日/中山・芝2200m)や、GⅡ毎日王冠(10月4日/東京・芝1800m)といった前哨戦の選択肢がありますが、それぞれコース形態や距離が異なります。

 また、毎日王冠は同じ東京競馬場が舞台となりますが、本番までの間隔が中3週。その点、新潟記念は同じ左回りのコースですし、本番に向けてレース間隔がゆったり取れるというのが大きなメリットとして考えられているのでしょう。

――では、そんな舞台に集った精鋭たちのなかで、大西さんが注目しているのはどの馬でしょうか。

大西 勝ち負けは別として、やはり今年は新勢力となるロデオドライブ(牡3歳)の走りには目を向けたいと思っています。というのも、昨年の2着馬エネルジコ(同年秋のGⅠ菊花賞優勝)や、2018年の勝ち馬ブラストワンピース(同年秋の有馬記念優勝)など、この新潟記念を好走した3歳馬がのちに大成するケースが多いからです。

 ロデオドライブの陣営にとっては、このあと天皇賞・秋へ向かうのか、GⅠマイルCS(11月22日/京都・芝1600m)へ向かうのか、ここでの内容がその指標になると思いますが、結果次第ではこの秋の勢力図にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。

 ただ......先に触れたエネルジコやブラストワンピースと違って、ロデオドライブはすでにGⅠを制覇。斤量57kgを背負ううえ、古馬との初対戦がキャリア初の2000m戦。乗り越えなければいけないハードルが数多くありますから、他馬がつけ入る隙が十分にあって、馬券的な信頼度はそこまで高くないかもしれません。

――ロデオドライブ以外のGⅠ馬も、近走の成績は今ひとつ。そうしたなかで、これら実績馬にひと泡吹かせるような存在はいますか。

大西 面白そうなのは、ダノンシーマ(牡4歳)です。

 ここまでのキャリア10戦でさまざまな距離のレースを走りながら、すべて3着以内という堅実なキャラクター。なかでもベストパフォーマンスを挙げるなら、年明けのリステッド競走・白富士S(1月31日/東京・芝2000m)だったと見ています。

【競馬予想】GⅠ馬5頭が集結した新潟記念 極限の末脚の持ち主...の画像はこちら >>
 なにしろ、同レースで下した3着ウィクトルウェルス、4着レディネス、5着ピースワンデュックらが、のちに重賞で好走していますからね。
しかも、こうした強敵を上がり3ハロン32秒7という極限の末脚を繰り出して一蹴。出色の内容を披露しました。

 直近2戦は3000m戦、2500m戦と長い距離にも挑戦していますが、道中で少し力みながら走っているような素振りが見られました。その点がこの馬の武器である直線での爆発力の妨げになっていたと考えれば、今回の距離短縮はいかにも好材料と言えます。

 もしロデオドライブが大きく崩れたりすれば、同馬が好配当の使者になり得ます。そういった馬券的な妙味も鑑みて、新潟記念の「ヒモ穴」にはダノンシーマを指名したいと思います。

武藤大作●取材・構成 text by Daisaku Mutoh

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