とんねるずの冠番組である『みなさんのおかげでした』。その前身番組が『みなさんのおかげです』というのは有名な話です。
しかし、この2番組の間に同じ枠で『ラスタとんねるず'94』というバラエティが放送していたことを知っている人は少数派でしょう。
時事ネタをブラックユーモア的に風刺した人形劇コント『SPITTING IMAGE JAPAN』や、石橋貴明・木梨憲武が集めた格闘家を将棋の駒に見立てて、様々な競技で競わせる格闘型ボードゲーム『ジャイアント将棋』など、かなり実験的なプログラムが組まれていた同番組。

スタートの名目は、『みなさんのおかげです』を半年間休止させてネタの充実を図るため、とのこと。『みなおか』のスタッフは一切起用せず、コントも行わないというスタイルで制作されました。けれども、それは表向きの理由。
本当は、ある事件を機に『みなおか』が放送自粛になったからであり、『ラスタとんねるず』は、いわば「つなぎ番組」として放送されたのです。


石橋貴明が霊能者に扮する企画で事件は起きた


事の発端は、『ラスタとんねるず』が開始する4ヶ月前に遡ります。1993年12月、「宜保タカ子と行く心霊体験バスツアー」なる企画の収録が行われました。これは、当時テレビに引っ張りだこだった霊能力者『宜保愛子』のパロディ。石橋扮する「宜保タカ子」が、毎回ゲストと共に様々な心霊スポットを回るコーナーした。
……というのは、表面上のお題目。企画の意図は、コーナーの冒頭で司会の木梨が「またの名を、“真夜中のドッキリ火薬でドン!”のコーナーがやってまいりました!」と言うように、深夜の僻地で爆薬などを使い、お化け屋敷のノリで出演者を驚かせるという内容になっていました。

富士の樹海で爆薬を破裂させた『みなおか』スタッフ


この日は企画の第5弾として、石橋扮する宜保が、ゲストの宮沢りえ・フジテレビアナウンサーの中村江里子らと共に、関東最恐の心霊スポット富士山麓の青木ヶ原樹海、通称「富士の樹海」を散策。
言わずと知れた自殺の名所ですが、実はこの一帯、天然記念物が生息する森としても有名なのです。
そうとも知らずに、いつものようにスタッフが木に化けておどかしたり、爆薬を破裂させたりと好き放題に荒らしてしまいます。

大量のゴミ投棄がニュースに 大問題に発展


それだけではありません。収録後、あろうことか『みなおか』のクルーは、撮影セットのゴミを大量に不法投棄したまま撤収。一般常識からも大きく逸脱したこの行為は、すぐに各局・各新聞でニュース報道され、大問題となります。
これに当時の番組プロデューサーが激怒。即刻、収録に関わったスタッフ全員へ謹慎処分が言い渡されました。
その結果、『みなさんのおかげです』はマンパワー不足となり、やむなく番組休止となったのです。

結局、1994年4月からの半年間『ラスタとんねるず』でつなぎ、同年9月から放送を再開した『みなさんのおかげです』。
しかし、その後継番組『みなさんのおかげでした』でも、2003年に人間大砲で打ち出された歌手の葛城ユキが、2007年には水上スキー用のゴムボートでゲレンデを滑走したお笑い芸人「ずん」のやすが、共に頚椎を骨折する怪我を負うなど、何かと問題が多い同番組。もう少し、周辺環境や出演タレントへの気配りも大切にして欲しいものです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりとんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 vol.1 「リカコと過ごした夏」 EPISODE1-5 [DVD]