国によって歩行者用信号のマークはいろいろあるが、かわいらしさでいえば、ドイツの「アンペルマン」が群を抜いているかも。

「アンペルマン」とは、旧東ドイツ時代、ベルリンで生まれた歩行者用信号のマーク。
帽子をかぶった人型マークはどこかおどけたムードで、なんともいえない愛嬌があり、街なかでも目を引く。

アンペルマンの誕生は今から50年前の1961年。当時増えつつあった交通事故を減らそうと、交通心理学者のカール・ペグラウさんによって考案されたものだ。光る部分が大きく、マークが親しみやすいほど、その効果も出やすいことから、デザインは心理学に基づいて検討されたという。

その後、ドイツ東西統一を機に、信号はいったん西ドイツのものに替えられてしまったが、1996年から「アンペルマンを救おう!」という運動が盛り上がり、97年に無事復活。現在では、ベルリンの歩行者用信号のほとんどがアンペルマンになっているほか、ドイツの他都市の信号にも一部採用されている。


また、ここ数年は、アンペルマンが世界的な人気キャラクターになりつつある。アンペルマングッズはベルリンの直営店3店舗、日本と韓国に1店舗ずつあるフラッグシップショップで売られているほか、世界各国の雑貨店などでも一部のアイテムが取り扱われている。

日本のフラッグシップショップである「アンペルマンショップ白金高輪」の森さんによれば、日本でもその知名度は年々高まっているという。同店では5年ほど前から企業とのコラボグッズなどを通してアンペルマンを日本に紹介。昨年にはショップもオープンし、グッズの販売もスタートした。扱うアイテム数はかなり多く、なかにはサッカーボールや消しゴム、ワインコルクなどの変わった商品もある。
森さんいわく、
「ほとんどの生活雑貨がグッズになっています。人気は夏ならTシャツ、冬はマグカップやコースターが人気です。また、財布やバッグは季節を問わずよく出ますね」
店には中学生からお年寄りまで幅広い年齢層の人が訪れているそうで、
「ぜひ、気軽に遊びに来てください」
とのこと。一部の商品は同社のサイト「イッピンモールドイツ」で購入できるほか、新たにアンペルマンの日本用ホームページも作成中とのこと。ちなみに「アンペルマン」というのは男性のキャラクターだが、女性バージョンの「アンペルフラウ」もある。

ちょうど今年はANA(全日空)国際線25周年記念イメージキャラクターとして、アンペルマンのパイロットバージョンが採用されている。
こちらは販促グッズとして配布されるのみで商品としての販売はないが、アンペルマンがより広く知られるきっかけになりそうだ。

また、ベルリンのミッテ区(中央区)と姉妹都市である島根県の津和野町では、アンペルマンの描かれた町営バスが走っており、今年の秋にはベルリン交響楽団のメンバーによるコンサートがおこなわれる予定だそう。

世界各地で人気上昇中のアンペルマン。これから日本でも目にする機会も増えそうです。
(古屋江美子)