ゾンビに“なってみた”　新手のストレス発散法!?　

古今東西、ゾンビといえば映画やゲームの中だけに出てくる生き物（？）として知られている。そんな彼らが突然、街に飛び出したら……？

5月のとある土曜日。にぎわう代々木公園に、どこからともなくたくさんのゾンビたちが集まってきた。
血色の悪い顔にボロボロの服という定番ルックのゾンビはもちろん、サンバイザーやメガネ着用、日傘をさしていたりジャージ姿のゾンビ、わんこ連れetc……と、みなさんマジで自由すぎる出で立ち。彼らが一斉に歩きはじめると、モーゼの十戒のごとく道が空くものと思いきや、「代々木公園でゾンビなう」と言わんばかりにスマホやカメラを向ける人であふれ、公園がもはやレッドカーペット状態に……！　

もげた腕を持ってゾンビの行列をリードするゾンビ（もう何が何やら）が「ナイスゾンビ！」「カメラ見て～！　ハイ、ゾンビ！」などとゾンビたちを盛り上げ、みんなでセミのように木に貼りついたり、思い思いのポーズで集合写真を撮ったりとゾンビたちもとにかくノリノリ。
この年に1回だけの「代々木公園ゾンビウォーキング」、今年はトータル100名を超える一般参加ゾンビが集まり、その様子を国内外のメディア（自らもゾンビメイクで気合いの入った取材陣も！）が報道。ゾンビ同士がそれぞれ挨拶を交わしたり、肩を組んで記念写真を撮りあったりと和気あいあいとした空気の中で終了した。

このイベントの首謀者は、ゾンビパフォーマンス集団のZOMBIENA（ゾンビーナ）。ゾンビをテーマにしたコメディ映画『ウォーム・ボディーズ』のイベントで来場者たちにゾンビメイクを施したり、同じく映画『バイオハザード』のPRイベントに出演するなど、実はゾンビ業界ではかなりメジャーな存在なのである。そしてその根城は六本木にあるとのウワサ……。
そこで月イチで開催されている「ゾンビバー」に潜入してみることにした。

ゾンビバーのコンセプトは“お客さんがゾンビになりきって楽しむバー”なので、筆者もとりあえずゾンビメイク（500円）をすることに。メイクを担当してくれたゾンビーナ2号ナオミさんに「メチャクチャにして（はぁと）」とお願いしてみたのだが、「まだ照れがあるんじゃない？　もう1回！」とツッコまれ、3回言い直してようやく念願のゾンビに（汗）。ちなみにドーランや血のりなどを使ったメイクは、計3～5分程度とあっという間に完成。
ゾンビになったらゾンビ御用達ドリンクを飲むべし！　ということで、やや酸味のある爽やかな味わいのゾンビ菌入りカクテル（900円）を頼んでみた。作ってくれたゾンビに「これって何が入っているんですか？」とたずねるも、不気味なゾンビスマイル（時価）でスルーされる。ゾンビの生き血（900円）など定番ドリンクのほか、その月限定のスペシャルドリンクがあったり、時おり提供されるというゾンビの餌付け(500円)という謎のメニューも気になる……と思っていたら、店内から何やら悲鳴が！　実はこの“餌付け”、お客さんが自らをスタッフゾンビに差し出すというメニューで、どう見ても襲われているようにしか見えないシュールな絵ヅラのため、オーダーが入るたびに店内が祭り状態に。お客さんゾンビたちに感想を聞いてみると「とにかく楽しい！」「メイクの速さが職人技で、見ているだけでも面白い」など、みんな心からこの空間を楽しんでいる様子だった。

ゾンビーナ2号ナオミさんは、ゾンビバーの楽しみ方を「ゾンビになったらかわいいとかイケメンとか、関係ないでしょ？　楽しんだもん勝ちだから、人間のままでいるほうが浮いちゃう」と指南。そして「ゾンビになることで、お互いの距離が縮まりやすいのかも。このゾンビバーをきっかけに結婚したカップルもいて、出会いの場にもなっているんです。ほかにもただの飲み会がつまらなくなってきた人、新しい遊びを探している人におすすめ」（ゾンビーナ1号メイミーさん）という、ちょっと気になる活用法もあるのだとか。

日ごろストレスを感じていたり、いまいちはっちゃけきれないそこの貴方！　たまにはゾンビになって、自分の心を思いっきり解き放ってみてはいかが？
（古知屋ジュン）

【ゾンビバー】
会場：Night Gallery Cafe CROW（港区六本木7-8-5ロック＆ロックビル2F）
日時：毎月最終日曜開催。次回は6/29（日）15:00～21:00（ラストオーダー20:30）　

※お問い合わせはZOMBIENAまで。会場へのお問い合わせはご遠慮ください。
※国内外でゾンビを撮影しているカメラマン中山達也氏による『ゾンビの肖像』写真展用撮影会も開催中（参加無料）。