北海道には美味しいものが多い。それは都内各地のデパートなどで行なわれる北海道物産展がいつも大盛況なことからもわかるはず。
私自身、どこかで北海道物産展があると行ってみたりするのだが、先日、あるお菓子との出会いがあった。それは一時期、北海道に住んでいた親友からもらって以来、大好きになった「六花亭」の商品。

六花亭の代表的なお菓子といえば、やはり『マルセイバターサンド』。
マルセイバターサンドで有名な「六花亭」に聞く、商品名への強いこだわり

これはホワイトチョコレート&レーズン、北海道産生乳100%のバターをあわせたコクのあるクリームを、サクサクのあるビスケットにはさんだ逸品。きっとファンも多いはず!

他にも、サクサクに焼き上げたチョコレートパイで特製モカホワイトチョコクリームをサンドした『霜だたみ』。
マルセイバターサンドで有名な「六花亭」に聞く、商品名への強いこだわり

ブラックココア入りのビスケットで、すっきりとした甘みのホワイトチョコレートをサンドした『雪やこんこ』などなど。

マルセイバターサンドで有名な「六花亭」に聞く、商品名への強いこだわり

まだまだたくさんあるのだが、とにかく素材、食感にこだわった味わいが楽しめるものが多く、どれも美味! そして、もうひとつ気になるのが、その商品名。『マルセイバターサンド』はなんとなく想像がつくけれど、名前を聞いただけでは、どんな商品かわからないものがけっこう存在するのだ。

たとえば、『大平原』、『百歳』、『なんもなんも』など。そして、今回私が出会った商品『いつか来た道』も。なんという詩的なネーミング! 
マルセイバターサンドで有名な「六花亭」に聞く、商品名への強いこだわり

しかも、パッケージには小さく「この道は」との表記もあり。「この道は、いつか来た道」。
あれ……、どこかで聞いたことがあるフレーズかも!?

ちなみに、この『いつか来た道』というお菓子は、マルメロのゼリーとアカシアはちみつを合わせたレモンチョコクリームをサクサクのパイでサンドしたもので、食感は『霜だたみ』と似ている。
マルセイバターサンドで有名な「六花亭」に聞く、商品名への強いこだわり

レモンの酸味とチョコの甘さが新鮮で、さらに名前は聞いたことがあっても食べたことがなかった“マルメロ”のゼリーもベストマッチな美味しさ。

そんな『いつか来た道』についていろいろ聞いてみたくなり、さっそく取材! 六花亭製菓株式会社の文化広報部、成田純子さんが答えてくださった。

まず『いつか来た道』という商品名の由来を聞いてみると、こんな回答が。

「北原白秋、山田耕筰による童謡『この道』の歌詞から引用したものです。かねてより『雪やこんこ』『どこかで春が』『ずいずいずっころばし』『どんぐりころころ』など、童謡にちなんだお菓子を販売しており、そのシリーズの一つとして『いつか来た道』も商標だけは先に登録しておりました」

どこかで聞いたことがあったと思ったら! それにしても童謡にちなんだお菓子のシリーズがあるというのも興味深い。
六花亭は商品名に対するこだわりも強いよう。

「北海道、十勝の地元に根付いたおやつ菓子屋として、地域の歴史や地域独特の空気や、童謡のように何か背景に物語性を感じさせる商品名を心がけております。たとえば、『大平原』は北海道のひろびろとした大地を想像させるもの、『百歳』は帯広市内の講演に設置された“百歳の鐘”に起因したもの、『なんもなんも』は北海道弁、といった具合です」

やはり独自のセンスとこだわりが。せっかくなので『いつか来た道』を商品化した経緯も聞いてみた。

「先代・小田豊四郎が“良い食品をつくる会”で親交を深めた神戸の株式会社樽正本店さまより、平成22年、北斗市が特産品としてつくる果実のマルメロをご紹介いただきました。それを機に、この香りの良い素材を生かした商品の開発に着手することになったのです。
そして、かねてから童謡菓シリーズの候補として商標を登録していた『いつか来た道』を商品名とし、弊社創業80周年にあたる平成25年に発売しました」

なるほど、80周年記念の商品だったのだ。昨年からの発売なのでちょっと遅れてしまったけれど、『いつか来た道』に出会えて本当に良かった(しみじみ)。これからますます、その商品名も含め、六花亭の新商品に期待&注目していきたいです!
(田辺 香)