自慢じゃないけど私、食べるのが早いんです。どのくらいの早さか? 例えば、人と向かい合ってランチしたとしましょう。
「いただきます!」と食べ始め、向かいの人がひと口ふた口パクっと行き、水をゴクッと飲んで、ふと前を向いたら、すでに私は平らげ切っている……というレベル。無理してこの早さなのではなく、ナチュラルにトップスピードを走ってしまっているのです。
たしかに、ササッと済ますのはビジネスパーソンとしては都合がいい。だって、ロスタイムが少なくなるから。でも、人間としてはいかがなものか? よく、友人知人にも「食事を楽しめ!」と注意されています。でも無意識だし、自分じゃ調整できないのだから仕方がない。


……と、思ってました。しかし、こんな私に絶好のアイテムを発見! Trico(トリコ)が発売している『70% Cutlery(70%ゆっくりと食事を楽しむカトラリー)』は、見るからに不完全なんです。実用性が十分じゃない。どう不十分なのかは、画像をご覧ください。
【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる

スプーンには穴が空いてしまっているし、フォークは1本欠けてしまっているし、ナイフは歯の一部が削り取られてしまっている……。
これらは、イギリス人デザイナーのOnkar Kular Singh(オンカー・クラー・シン)によって考案されたカトラリーです。
目まぐるしく移り変わるこのスピード社会のなか、いつかしら素早く腹を満たすだけの食事に慣れてしまった現代人に向けて提案されたとのこと。

さて、これらを用いて食事するとどうなるか?
【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる

あらら。スプーンの中央から、スープがこぼれ落ちてしまっているぞ……。
「これらのカトラリーを使用すると、食事のスピードが必然的に30%ダウンします。それにより、ゆったりと楽しむ食事の時間を取り戻すことができるでしょう。料理をじっくりと味わい、会話をゆったりと楽しむことで、体にも心にも優しい効果が期待できます」(担当者)
購入者からの反響としては、やはりスプーンからスープが垂れるのを気にする人が多いみたい。
でも、フォークとナイフについては「あまり不便さを感じない」という声が多いらしい。

兎にも角にも、自分で体験してみないと何とも言えません。これらのカトラリーを取り寄せてみたいと思いますよ!
……はい、届きました。では早速、食事したいと思います。

1本欠けたフォークでパスタを食べてみた


【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる

まずは、フォーク(税込1,900円)でパスタを食べてみました。真ん中が1本欠けてますが、構わず麺の中に突っ込みます。そして、くるくる回して絡ませる。
ここで気付きました。フォークが麺をキャッチングする分量が、普通のフォークより少ない気がする。要するに、一くち分のパスタの量がボリュームダウンしているのです。
【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる
通常のフォークより微妙に絡み取らない。

とは言っても、そこまで激減しているわけじゃない。意識しなければスルーしちゃうだろうし、食べ心地や使い心地は通常のそれと何ら変わりはありません。ということは、気にならないまま実は食事のスピードが遅れていくということです。
なるほど、いいじゃないですか!

先端が削り取られたナイフでコロッケを切ってみた


【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる

続いては、ナイフ(税込3,900円)編。これで、コロッケをカットしたいと思います。先端の削り取られた部分で切ろうとすると、当たり前だけど切れ味が悪い。ラバーか何かで覆われているような感覚を覚えます。でも覆われてない、削れてるんです。
【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる
刃が達してない。

とは言え、それほど気にすることはない。意識しなければわからないレベルなので。
切り終えるまでの時間が通常ナイフより微妙に増し、結果的に食事にかかる時間も増す。その"時間"を、愛していただきたいのです。

穴の空いたスプーンでスープを飲んでみた


【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる

最後は、問題のスプーン(税込1,900円)が登場! これ、ドイヒーです。スープをすくいますよね。口に持っていきますよね。その時点で、ほぼ穴からこぼれ切ってしまっているんです。
【発見】穴の空いたスプーンでスープを飲むと食事がゆっくりになる
全然残ってない。

「こぼれるのが早いか? すするのが早いか?」みたいな競争がある。だから、スープが全然飲め干せない。食事に存分な時間を使えるので、忙しない現代人らしくないのは確かです。狙い通り!
「購入された方々からは、『来客時に使用し、このカトラリーをきっかけに会話が弾む』『スローフードについて考えるきっかけになった』『食事中の会話が増えた』といった反響が寄せられています」(担当者)

その他、「ダイエットしている方へのプレゼントに」「家族の健康を気遣って」「アートコレクションとして」といった意味合いでゲットすする人も多いという、この『70% Cutlery』。

興味深き要素が様々な矢印へと放たれているし、私もこんなにゆっくり食事をとったのは久しぶりな気がします。
(寺西ジャジューカ)