中国で、古美術絡みの「三悪」と呼ばれる現象が盗掘・密売・偽造だ。最近では「賄賂(わいろ)」としての利用が問題視されている。
「現金では受け取ってくれないだろうが、美術品なら大丈夫」などと話す企業関係者もいる。中国新聞社が報じた。中国では清朝期などにも、美術品が「汚職のアイテム」として重宝されたと伝えられている。

 これまで、贈賄のために現金以外に使われる品としては貴金属、高級車、豪邸、有価証券などがあった。最近では、陶磁器や書画などの古美術がもてはやされている。オークションでの高額落札も、「贈賄のために使う」ことが目的とみられることが多くなった。


 中国では古美術品の価格が高騰を続けているため「こんなことなら、もっと早く大量に買い付けておくべきだった」と、自分の“先見の明”のなさを悔やむ企業経営者もいる。

 中国では歴史的に、文化芸術を理解することが支配階級の「たしなみ」だった。そのため、美術品を強く求める心情は、「称賛すべきこと」だった。そして、美術品が高官への賄賂の「定番」のひとつになった。

 現在の中国でも、ほぼ同じことが進行している。2009年に発覚した浙江省麗水市の鄒建新元建設局副局長の汚職事件で鄒元副局長は、地位を利用して不正に利益を与える見返りとしてもらった大量の美術品に囲まれて生活していた。
ガレージの床下に「秘密の地下室」を作り、美術品を並べていた。「私設博物館も同様だった」との証言もある。

 中国ではその他にも、汚職の疑いで高官の家宅を捜査してみたところ、「大量の古美術品が出てきた」という事例が相次いでいる。取り調べに対して「美術品鑑賞は私の趣味。美術品をもらったのは汚職行為ではない」、「同好の知人が私の美術品を愛する気持ちを気づかってくれただけだ」などと主張する容疑者も多いという。(編集担当:如月隼人)