昨年末、とんねるず石橋貴明ビートたけしが共演して話題となった、『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』(TBS系)が今年の3月末に打ち切りになったのは記憶に新しいところ。

「企画段階から、石橋自ら『関東のお笑い芸人を集めて面白い番組を作る!』とたけしを巻き込んで鼻息を荒くしていたのですが……、得意とするイジリもさすがのたけし相手には遠慮したようで、石橋本来の面白さが半減していました。

結果は一ケタ視聴率の連続。あえなく打ち切りとなったわけです」(番組製作関係者)

 石橋が長年司会を務めていた『うたばん』(TBS系)も2010年に終了し、その後継番組『ザ・ミュージックアワー』(同)も低視聴率により終了。テレビマンの間では「石橋貴明の賞味期限は切れた、とういのが共通認識」(同)だという。

 1980年に結成し、関東お笑い界の頂点に立ったとんねるず。石橋のかりし頃は血気盛んな武闘派芸人スタイルで、テレビの放送中に巻き起こした数々の暴走事件はバラエティー番組の歴史そのものだ。しかし、レギュラー番組の激減、出演番組の低視聴率と、その勢いが失われた今では狂気の暴力性を見ることはない

■暴走エピソードは限りなし

 振り返ること28年前、『オールナイトフジ』(フジテレビ系)で持ち歌の「一気」を熱唱している時、石橋は飛びついた勢いでテレビカメラをぶっ壊すというアクシデントを起こした。

「カメラ破壊はフジではもはや伝説となっている話です。当時のカメラマンが原因を『とんねるずの悪ふざけにより破損』と申請して保険金が下りなかったとネタにしてますが、経緯説明と放送状況の報告手続きをきちんとした結果、実際には保険金は下りていますよ。金額は1,600万円近くだったとか」(バラエティー制作関係者)

 さらに同じ年の10月には『ザ・ベストテンin静岡』(TBS系)で、御輿に乗ってステージに向かおうとしたところ、観客がヒートアップして、石橋をもみくちゃにしたことに激怒。木梨がなだめる中、観客に延々と罵詈雑言、暴言を吐き続け、さらに持ち歌「雨の西麻布」を怒鳴り声で熱唱。その様子がそのままお茶の間に流れ、視聴者からの抗議が殺到。翌週の放送で番組が謝罪する騒ぎになった。

「カメラ破壊から数カ月後ですからね。こんな短期間でトラブルを起こしつつも生き残れたのは、今のようにネットで炎上して、芸能活動に影響を及ぼすような環境じゃなかったことがデカかった。さらに勢いに乗っていたとんねるずだったため、視聴者はともかく業界内では笑って許されてました。ほかの芸人だったら出禁レベルの事件ですよ」(同)

 その後も、これまた『ザ・ベストテン』の生放送中にカメラを破壊、『オールナイトフジ』でセットを破壊、『FNS27 時間テレビ』では大型モニターをゴルフボールで破壊と、石橋が破壊した損害金額をあわせると1億円は下らないとまでいわれている。

 また破壊行為以外で、石橋が得意とするのが大物芸能人やアイドルそして素人まで徹底した容赦ないイジリと噛み付き芸だ。古くは、『夕やけニャンニャン』での視聴者とのガチ口論コーナーや腕相撲コーナーで、ヒートアップした観客に噛み付いて乱闘にまで発展。

『ザ・ベストテン』のリポーター松下賢次アナ(当時)への飛び蹴りなど、「石橋は凶暴な男」とのイメージを決定付けた。

 その牙はますます鋭くなり、遂にはとんでもない相手に噛み付いてしまった。それは96年のこと、当時人気番組だった『新春かくし芸大会』(フジテレビ系)でとんねるずが司会を務め、生放送でミッキーマウスがスタジオに登場した。そこで石橋はなんとミッキーに対し「どうせ中に汗だくのおっさんがいるんだろ!」と突如飛びかかり、頭を外そうとしたのだ。これによりスタジオは騒然、CMを差し込むこととなった。

「現場で先方に謝れば済むレベルだったんですが、たまたま放送をチェックしていたオリエンタルランドの幹部がいて、直で局に電話がきました。

『あの無礼なやつは今後ディズニーのキャラクターと共演することを許さない!』『今すぐ謝罪させろ!』ととんでもない剣幕だったらしいです。プロデューサーが対応することでその場を収めましたが、それ以来、テレビで石橋とディズニーの共演は不可能になったということです」(番組制作会社社員)

この事件が巷でうわさされている「石橋貴明ディズニー出禁説」の真相なのだろう。

 この数年前には『白歌合戦』(NHK)の場で暴れていた。91年第42回大会でとんねるずとして悲願の紅白出場を果たしたが、舞台に立った彼らの姿に視聴者、関係者ともに度肝を抜かれた。

「それぞれ紅白のペイントを全身に施し、背中には『受信料を払おう』とデカデカと書かれていました(笑)。観客は大ウケだったんですが、上層部からは番組の品位を著しくおとしめたと現場の人間全員に顛末書を書くようお達しがあったそうです。

NHKのお偉いさんをどうしてもイジりたかった石橋の思惑だったんでしょうね」(同)

■関係者からはラブコールが

 女性タレントに対してのギリギリのセクハラと暴言も石橋の得意とするところで、『とんねるずのみなさんのおかげです』では小泉今日子牧瀬里穂宮沢りえ、松島菜々子らが標的となり、コント内で間接キス、口に含んだおかゆを顔にかける、卑猥なセリフを強制するなどはいつものこと。『うたばん』でも人気アイドルに対して容赦なくイジリを連発し、ZONEのドラマーで当時未成年だったMIZUHOに“チンチンの先っちょ”というギリギリアウトのニックネームをつけて、視聴者から抗議が殺到。のちに謝罪をしている。

「『みなさんのおかげでした』の頃のセクハラはノリダーの流れで家族で番組を楽しんでいた視聴者にとっては非常に不快だったのか、度々抗議の電話があったそうです。しかし行きすぎた結果、準レギュラーで出演していた女優が、番組内でセクハラを受けたとして制作と石橋を相手取り訴訟を起こしました。謝罪により和解となりましたが、以降は上層部の判断で番組内での下ネタは自粛」(番組制作会社社員)

テレビ界で数々の伝説を産み出したとんねるず。

そして手のつけられない暴君のイメージを視聴者に植え付けた石橋。現在のあまりにも寂しい石橋の姿に業界関係者たちも嘆いている。

タカさんとの絡みやイジリで再ブレイク、または大物タレントとして成功した人間は数知れずいるのも事実。『みなさんのおかげでした』に出演した女優の多くは現在も成功を収めていますし、『うたばん』でイジられたおかげで元モー娘。保田圭のポジションは安定しました。『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』(日本テレビ系)ではにしきのあきら定岡正二輪島功一と先輩後輩問わずのイジリで注目され、彼らの再ブレイクに貢献しました。放送以外では非常に礼節を重んじる人でもあり、何よりテレビに対する愛情は並々ならぬものがあります。それを知っている関係者たちは何とか再び傍若無人に暴れまわるタカさんを見てみたいといつも話しているんです」(同)

 年齢も50代に突入し、関東のお笑い界の重鎮となりつつある石橋貴明。今後、彼が再びテレビの画面狭しと暴れ回る姿を見ることはかなうのだろうか?