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連続テレビ小説「あまちゃん」、走って走って10週目、3ヶ月目に突入です。
6月3日〜8日「おら、スカウトされる!?」(55回〜60回)では、アキ(能年玲奈)の提案から北三陸市におしゃれな海女カフェがオープンし、早くも大盛況!
この一大イベントと並行して、ミズタクこと水口琢磨(松田龍平)の正体がわかります。


月曜55回から木曜58回までは、2009年、7月1日海開きの日にオープン予定の海女カフェ準備から晴れてのオープンまでと、スカウトマン・水口の暗躍を描きながら、これまでの9週分の回想をさりげなく盛り込み、ここから見た人には親切、前からずっと見ている人には懐かしいというサービスになっております。手厚いね。
来るべき東京編に向けて、海女カフェでちょっとブレイク、一旦まとめますYO〜の週とも言えるでしょう。

そんなもんですから、ミズタクが東京から来たスカウトマンで、アキやユイ(橋本愛)を東京に誘い、北三陸市の人々がそれを知って大わらわ、というドキドキハラハラの展開もあるにはありますが、人気脇役たちの個性を改めて強調するエピソードやいろいろな番組や社会現象のパロディなどがまんべんなく散りばめられ、全体的にどこか牧歌的な雰囲気すら漂っておりました。

海女カフェのビフォア(漁業組合)アフター(海女カフェ)の見せ方が改装番組「劇的!!ビフォアアフター」、どす黒い噂話の好きな5人の海女のキャラをババアとして紹介(夏ばっぱ、眼鏡会計ババア、騒音ババア、フェロモンババア、白ババア)、彼女たちを仕切る役割を担ったヒロシが久しぶりにやる「ヒロシです」、そんなヒロシにユイが殴られて思わず言う「顔ぶたないで」(「潮騒のメモリー」を歌っていたとされる国民的女優・鈴鹿ひろ美役薬師丸ひろ子が主演映画「Wの悲劇」で言った台詞)、水槽の説明にある「珍しいお魚、珍しくないお魚がいっぱい」という朝ドラの年配視聴者たちには奇異に映るであろう「珍しくない」、鈴鹿ひろ美も育てた敏腕プロデューサー荒巻(古田新太)が推進している47都道府県地元アイドル集団・GMT47、「国道45号線封鎖しまーす」・・・など、相変わらずくすぐりがいっぱいある中で特に気になったものが、アキが海女カフェに水槽をつくって自分がライブで潜るところを見せたいと提案したところです。

結局、予算が足りなくてそれは実現せず、海底に設置したカメラから大型モニターへ実況中継するという折衷案に落ち着きますが、なんと水槽は、フジテレビのバラエティー番組「ピカルの定理」での「あまちゃん」パロディー「なおちゃん」で、しれっとやっていたのです。じぇじぇ。
「なおちゃん」では渡辺直美が、伝説の海女・なおちゃんに扮して、側面が透明になっているプールに潜ってウニをとろうとジタバタする姿を見せるのは、偶然なのかなんなのか。
クドカン先生は、フジテレビのバラエティー番組で構成作家もやっていたので、感覚がなんとなく合っているのかも。

海女カフェで実現できなかった水槽がバラエティーでは可能だなんて、やっぱ東京や芸能界ってすげえ! 
アキがそう思って、ユイと一緒に芸能界を目指すことになるわけでは決してありませんが、水口はユイだけでなくアキも東京に連れていきたそうなのです。
というか、アキのほうに可能性を見いだしている節すら垣間見えます。
そのためユイの焦りは募って、家族に東京に行くと宣言し家庭が修羅場に(59回)。

一方アキも「まだ17歳だろう。君自身、無限の可能性を秘めてるじゃないか」と水口に言われたことを何度も何度も(55、56、57回)思い返していて、次第に興味をもちはじめているような・・・。
水口はアキに「忙しそうだし興味なさそうだし」と、諦めているようなことを言いますが、これもなにげに気を引く作戦のような気もします。水口はスカウトマンとしてなかなか優秀そう。スカウトマンって「ターゲットを決めたら、まずその子の家の近所に部屋を借りて家族や友人と仲良くなってから交渉に入る。それが円満にデビューさせる秘訣」(56回)なんだそうですよ、ビックリですね。

アキとユイはGMT47のメンバーになるのでしょうか。
現実世界では、週末(6月8日)、AKB48第5回選抜総選挙が行われ(同じ週にGMT47ネタ出してくるところも狙っているとしか思えません)、指原莉乃が大島優子を抜いてセンターの座を獲得しました。
語弊をおそれずに言えば、言動が笑いを生んでしまう異端児・さっしーがアキ、正当派で安定感のある大島優子がユイという印象です。ちょっとね。ほんのちょっと!
昨年まであった絶対的なセンターというよりは、2人が互いを相対化していい関係になるという形に落ち着いたようなところがアキとユイの関係にも似ているのではないでしょうか。ちょっとね。
ほんのちょっと! 
しかも、さっしーは地元アイドルHKT48のメンバーなわけで。
ドラマは時代を映すとはいえ、ここまでベタベタに時代とくっついていていいのか? という気もしないではないですが。

土曜日60回には、「やかましい」アキと「めまぐしい(女に憧れていた)」ユイが、地元の人気も男も取り合いながら、お互いの良いところをリスペクトし合っているという麗しいシーンがありました。
今週、11週は「おら、アイドルになりてぇ」。遊び過ぎずにピリッと締めるとこ締めていただきたいと期待しております。(木俣冬)

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