これまで就職活動といえば、学生が企業にエントリーをするという形が一般的でした。ですが「キミスカ」では、企業の側から学生に向けてスカウトを送るという、従来とは逆の手法で就職活動を行うことができます。

キミスカを運営する、株式会社グローアップの松山朋子さんにお話を伺いました。

企業が新卒学生をスカウトする理由 二極化する就活市場で新たな試み
株式会社グローアップ 松山さん

企業側から学生にスカウトメッセージを送る


――キミスカとはどのようなサービスなのでしょうか?

松山 新卒の学生さん向けスカウト型サービス、ダイレクトリクルーティングサービスになります。従来の就職活動は、リクナビさんなどの大手ナビサイトに企業が情報を登録して、それを見た学生さんがエントリーという形でアクションを起こすという手法でした。キミスカをはじめとするダイレクトリクルーティングサービスではその逆で、学生さんの側が情報を登録して、それを見た企業がスカウトという形でアクションを起こす仕組みになっています」

――どのような学生さんが利用しているのでしょう?

松山 就活をしていく中で可能性を広げたいと考えている、意欲的な学生さんが多いかと思います。現在、19卒学生さんは1万5千人を超えており、18卒学生は延べ6万2千人が登録してくださっています。そのため、就活生10人につき1人ぐらいの方にご利用いただいています

――企業は学生さんのどういった部分を見てスカウトを送りますか?

松山 学生さんには、学生時代に頑張ったことや、ご自身を表現できる写真などといった形での自己PRと、ご自身の就活における選考状況や適性検査の結果を登録していただきます。自己PRは主観的な評価ですが、選考状況を載せることで客観的な評価が加わります。
自己PR、自己表現できるお写真、適性検査(キミスカ登録学生さんは無料で受けられます!)の結果を見てスカウトしていただけます。選考が進んでいる企業がある場合はもちろん、落選した企業についても書いていただくことで、同業他社や、採用競合の企業などの人事さんの目に留まり、スカウトされます!

――失敗経験も載せることで思いもよらないスカウトが届くことがある。

松山 そうですね。スカウトメッセージは自分がそれまで知らなかった企業からもらうことが多いですが、求人広告のように不特定多数に向けられたものではなく、ひとりひとりの学生さんに向けて書かれているものです。中には社長さん自らがスカウトを送っている企業もあります。なので「初めて社名を聞く会社だけど会いに行ってみよう」と思える企業にも出会うことができます。
従来の手法だけで就活をしていたら会えなかったであろう魅力的な企業と出会えるのは大きな特徴です。


内定を持っている学生、持っていない学生の違いとは


企業が新卒学生をスカウトする理由 二極化する就活市場で新たな試み

――スカウトを貰いやすい学生さんの特徴とは。

松山 現在の就活は売り手市場だといわれているのですが、一方で、内定をすごく多く持っている学生さんと、持っていない学生さんの格差が大きくなっています。「テクノロジーの発展によって、10年後、20年後には多くの仕事がなくなる」という話題を聞くことも増えた中で、その人の持っている個性、特徴が10年後、20年後も必要なものだろうか? というところを見ている企業さんは多くなっていますね。学生さんだけではなく、企業にもいえることですが、ユニークな個性(独自性)を出していかないと、選ばれるのは難しいですね

――従来の就活の中でも、自分の個性や長所を見つけることに苦労する学生さんは非常に多くいました。

松山 個性がないひとは絶対にいません。ですが自分の個性や強みを相手に見てもらうためにはまず、それが何なのかを自覚する必要があります。
ただし自分の個性や強みといったものは、他者との関わりの中で見つかるもの。ひとりで悶々と考えていてもなかなか見つかりません。自分が今まで足を踏み入れなかった領域に踏み出し、新しい出会いの中で見えてくるものだと思います。キミスカを利用していれば、企業の人事担当者はもちろん、キャリアコンサルタントや、同時期に就職活動をしている他の学生さんなど、多くの人に出会うことが出来るので、個性や長所を見つける上でも活用していただけるかと思います。

企業は欲しい学生を明確に


――キミスカを利用しているのはどのような企業でしょうか?

松山 大企業から創業間もないベンチャー企業まで、幅広い企業にご利用いただいています。中でも比較的伸び盛りの会社さんが多いですね。
時代の変化に合わせて、企業やサービスも変化しなければ生き残ることが難しい時代ですが、その中でも「採用」というのは大きく変えられる部分だと思います。少子化もあり、学生の数そのものが減っている中で、とにかくエントリー数を集めるという従来の採用から脱却し、「こんな人が欲しい」というペルソナを明確にして採用活動に取り組もうと考える企業。また「ひとりひとりに寄り添った採用活動」という私たちの理念に共感して頂ける企業にご参加いただいています。

――現在、企業が採用活動の中で直面している課題にはどのようなものがありますか?

松山 内定を多く持っている学生さんと、そうでない学生さんとの格差が広がっているように、企業の側も多くのエントリーを集めている企業と、そうでない企業とで二極化しています。応募の多い企業では欲しい学生像からかけ離れた学生もたくさん集まるようになりました。とはいえ企業が接触できる学生さんの数にも限界があるので、結局会いたい学生さんには出会えずじまい……。
ということがしばしば起こっています。逆にエントリーが集まらない会社の場合、いろいろな手法を使っているのに人が集まらないという課題を持っています。

――そんな中で、企業がキミスカを利用するメリットとは。

松山 どちらの場合も、自分たちが欲しい学生に向けてピンポイントにメッセージを投げかけることで課題の解決につながります。そうなると「こういう学生が欲しい」「こういう学生だけを集めたい」ということをマス向けの広告媒体で打ち出していくのはなかなか難しいので、キミスカのようなサービスが有効になってくるのかなと思います。これまでの受け身の採用活動ではエントリーしてこなかった層の学生にも、自分たちから働きかけることで出会える。
”来る学生”ではなく、”欲しい学生”の採用に最適なものがキミスカです。

(辺川 銀)