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香港のシェアサイクル業者が半年もたたずパリから撤退 原因は「市民のマナーの悪さ」

2018年3月9日 12時00分

ライター情報:加藤亨延


各所で広がりつつあるシェアサイクルにとって、パリで一つの転機が訪れている。昨年10月からサービスを始めていた香港の「ゴービー・バイク」が、今年2月24日をもってパリから撤退したのだ。

パリでは以前から「ヴェリブ」というパリ市が中心となって進めてきた、ステーション返却・乗り捨て式のシェアサイクルがあった。一方で新規参入したゴービー・バイクは、スマホアプリと自転車に取り付けたGPSを連動させることによって、ステーション返却という概念を取り去り、街中のどこにでも乗り捨てできるサービスを行っていた。アプリによる自転車の位置情報をもとに、乗り捨てされた場所から、新たな使用者がその自転車を借りる仕組みだ。

そのゴービーバイクが、半年もたたないうちにパリから引き上げることになった。今回の撤退に先立ち、同じくサービスを行なっていたフランス北部のリール、同東部ランス、ベルギーの首都ブリュッセルでの運用も、今年1月9日に終了した。

原因はシェアサイクルの破壊や窃盗


ゴービー・バイクによれば、今回のパリからの撤退はマナーの悪さだという。サービス終了日の前日、ゴービー・バイクのユーザーに一斉に送られたメールには、パリから撤退する悔しさがにじみ出ている。

「ゴービー・バイクのフランスでのサービスを、2018年2月24日で取りやめることを公式にお伝えすることになり大変悲しいです。私たちはユーザーにスマート・トランスポート・サービスを提供できると信じていただけに、これは苦渋の決定でした。このプロジェクトが成功する最後の最後まで、情熱を持って一生懸命働いていたスタッフ全体にとっても、とりわけ挫折感のある決定でした」(ゴービー・バイクから受信したメールの文面より)
ゴービー・バイクの自転車

撤退の引き金となったのは、貸し出した自転車の破損率の高さだ。ゴービー・バイクによると、昨年12月と今年1月にわたって多数のシェアサイクルの破壊が未成年者の新しい娯楽になった。その内容はソーシャルメディアを通じて広範囲にシェアされ、さらに行動が広がった。結果、1000台の自転車が盗まれ、または私用化され、3400台近い自転車が壊された。およそ280件の苦情がフランスの警察に届け出され、6500台が修理に入った。

昨年10月のサービス開始以来、ゴービー・バイクはヨーロッパ8都市で運用されていたが、4カ月間で6割の自転車が破壊、窃盗、私用化され、ヨーロッパ全体でプロジェクトを持続できなくなったと言う。

確かにパリで感じた記者の実感としても、サービス開始からしばらくして、パリの街中でゴービーバイクを探そうとしても、GPSで示された自転車の位置が誰かの建物の敷地内であったり、ようやく1台見つけても故障していたりと、うんざりすることが、たびたびあった。歩道の邪魔になる場所に、ゴービー・バイクが駐輪されていることが目につくようになった。

ライター情報: 加藤亨延

ジャーナリスト。日本メディアに海外事情を寄稿。主な取材テーマは比較文化、および社会、政治。取材等での渡航国数は約60カ国。ロンドンでの生活を経て現在パリ在住。『地球の歩き方』フランス/パリ特派員

URL:フランス/パリ特派員ブログ