「ワンダーウーマン」に乃木坂46はミスマッチ? 「女は一人じゃ眠れない」にファン違和感
『ワンダーウーマン』公式サイトよりキャプチャ

乃木坂46が、8月25日より公開される映画『ワンダーウーマン』の“公式アンバサダー”に就任した。日本版イメージソングも担当することになったが、楽曲のタイトルは「女は一人じゃ眠れない」。
強い女性が闘う物語にふさわしくないのではないかと波紋が広がっている。

恋の苦しさに悩む歌詞


『ワンダーウーマン』は、女性だけが暮らす島のプリンセスが「世界を救いたい」という願いから故郷を去って闘う姿を描いた“史上最強の女性スーパーヒーロー”の物語。ワンダーウーマンは海外ではフェミニズムのシンボルとして評価されており、しかも日本公開が迫る初の実写映画版は、女性監督歴代1位のオープニング成績を獲得。そのため『ワンダーウーマン』をフェミニズム史的に重要な作品とする見方は強い。

乃木坂46がアンバサダーに抜てきされたのは、パティ・ジェンキンス監督からの直々のオファーによるものだそう。しかし、日本版イメージソングのタイトルが「女は一人じゃ眠れない」だと発表されたとき、同映画に期待していた人々からは疑問の声が上がった。まるでワンダーウーマンを男なしではいられない乙女のように扱うタイトルではないか……。
映画評論家の町山智浩氏がTwitterで「それって正反対のメッセージじゃないの?」とはっきり異を唱えたのを始め、『ワンダーウーマン』に期待していた映画好きやフェミニストたちからは批判が噴出している。

議論が巻き起こる中、7月25日にはMVが公開され、歌詞のすべてを確認できるようになった。さすがにコテコテの恋愛ソングということはなく、強さを求めるフレーズもあるのだが、恋の苦しさに悩む歌詞は、やはり“史上最強の女性スーパーヒーロー”の物語を彩るのにピッタリ!とは言いづらいように思える。


過去にも「下品」と批判噴出


映画『ワンダーウーマン』を巡っては、今年3月にも「ワーナー ブラザース ジャパン」公式Twitterアカウントが投稿した「[最強のスーパーヒーロー]のハズが、実は世間知らずでオトコも恋も知らない天然系女子だった…?」という文言に対して「下品」「女性の恋人がいたはずだから、『恋も知らない』はふさわしくない」「ステレオタイプのヒロイン像に押し込めすぎ」といった批判が巻き起こった。

日本では「フェミニズム=口やかましく、なんだか怖いもの」という偏見を抱いている人が男性だけでなく女性にも少なくない。そう考えると宣伝サイドにとっては、上記の宣伝方法は一層幅広い層に作品を伝えるための方法だった可能性もある。


とはいえ、フェミニズムの文脈で『ワンダーウーマン』に期待していた映画好きたちだって、多くの人々に興味をもってもらうためには、ある程度キャッチーな文言でアピールしなければいけないことは重々承知だろう。それでも『ワンダーウーマン』の場合は、キャッチーさを追求するあまり、作品のテーマとは真逆の方向に進んでしまったのではないか――。そんなふうに見えてしまったからこそ一連の炎上が起きたようだ。
(HEW)