2度の窃盗容疑で警察の世話になったことがあるにもかかわらず、再び万引きで逮捕された19歳の女は驚くことに懲役刑を免れた。共犯の18歳女は「仲間からのプレッシャーを感じて仕方なくやった」と供述。
メディアらは法廷から出てくる2人を待ち構えていたが、19歳女はスマホを手にした片手を高々と上げ、カメラに笑顔を向けた。英メディア『Manchester Evening News』『Mirror』『Metro』などが伝えている。

3度目の窃盗容疑で逮捕されたのは、マンチェスター市ハーパイー在住のナフィサ・アクター(19歳)だ。ナフィサは、同市チータム・ヒルに住むアナシュラ・アリ(18歳)とともに昨年12月12日の夜、クリスマスショッピングで混雑していたマンチェスター市内にある高級デパート「Harvey Nichols(ハーヴェイ・ニコルズ)」で、デザイナーブランドの衣類380ポンド(約58,000円)相当と化粧品386ポンド(約59,000円)相当を万引きした。

午後8時34分、監視カメラに映った怪しい女2人組を捉え、勤務中の警備員がその行動を監視していたところ、化粧品売り場にいたナフィサとアリは他の客から隠れるようにしており、後にナフィサは棚の奥に陳列されていた化粧品を手に取りバッグに入れた。商品の支払いをせずにそのまま出口に向かった2人を警備員らが呼び止めて店内に戻し、万引きされた商品を取り戻すことができたためにデパート側の損失は免れている。


このたび治安裁判所で行われた裁判で、ナフィサとアリは互いに窃盗の罪を認めたが、スザンヌ・オコネル判事は2人を「若いあなたたちはまっとうに生きていくことができるにもかかわらず、窃盗の罪を犯した。このことは一生犯罪歴として自分の人生に残っていくが、それを理解しているのか。今回の言い訳は何なのか。まともに仕事をしたのはいつか。なぜ仕事に就こうとしないのか。仕事がないから高級デパートで万引きをしたと言えば通用するとでも思っているのか。
刑務所暮らしは容易いと思っているかもしれないが、それは間違いだ。しっかりと地に足をつけて仕事をしなければ、今度こそ懲役刑になるだろう。あなたたちは、店側の利益損失を生じさせるようなことをしただけではなく、この法廷にいる全ての人たちにも迷惑をかけている」と厳しく糾弾した。

ナフィサはこの件以外にも、昨年10月にマンチェスターで万引きし、12月にはシェフィールドの店でもアップル社の商品1,000ポンド(約153,000円)相当を万引きしている。その時には12か月間の条件付き釈放となっていた。しかし時を置かずして再び3度目の万引きに手を染めたナフィサだったが、驚くべきことに実刑を免れ、12か月間の地域奉仕活動と150時間の無収入労働が命じられた。
また、昨年3月に万引き行為で警告を受けたアリは、法廷で「仲間からのプレッシャーで万引きしてしまった」と話し、今回は12か月の条件付きの釈放となった。さらに2人には、それぞれ105ポンド(約16,100円)の裁判所費用と課徴金の支払い命令も下された。

実刑とならなかったことに安堵したのか、法廷から出てきたナフィサは笑顔で片手を上げ、勝利したかのようなポーズをとった。一方、隣のアリは片手で顔を覆い隠している。友人の反省の色が全く感じられない行為を恥じているのか、単にメディアを避けようとしているのかは定かではない。しかしこの映像を見た人々からは、「いやどう考えてもこの判決は間違っているだろう」「前科があるのに何でまた釈放なわけ?」「これが男だったら絶対に懲役刑」「釈放したら、また万引きするだけ」「親の顔が見てみたい」「犯罪は犯罪よ。
何回目であっても関係ない。こんなふうに犯罪を良しとしてしまうような判決を下すべきじゃないわ」「写真を見ても反省の色なんて見られないじゃないか。こいつらは空腹に耐えかねてパンを盗んだんじゃない。高級な商品を万引きして売りさばきたかったから盗んだだけだ」「この国の司法は絶対間違っている」「アメリカだったら3回やったら刑務所行きは間違いないよ。イギリスはどうなってるんだ」とその判決に多くの批判の声があがっている。

画像は『Manchester Evening News 2018年1月5日付「Smug, smirking teenager punches the air in delight after escaping jail sentence for shoplifting spree at Harvey Nichols」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)