今回記事でご紹介するのは第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉より刊行された学園ミステリー、『氷菓』のあらすじです。
『氷菓』は米澤穂信の代表作『古典部シリーズ』の第1作目にあたり、のちに京都アニメーションでアニメ化されました。
角川文庫のカドフェス杯2012では総合第3位に輝き、今もって続編が待望されるなど、根強い支持を集めています。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『氷菓』のあらすじ
主人公は神山高校1年生の折木奉太郎(おれき ほうたろう)。
何事にも積極的に関わらない省エネ主義を標榜する彼は、自他ともに認める無気力人間であり、青春と縁遠い日々を送っていました。
世界を渡り歩いて見聞を広める姉の供恵(ともえ)はそんな弟を見かね、神山高校名物・古典部に入部を勧めます。
最初のうちこそ渋っていたものの、部員一人ならサボり放題と考え直した奉太郎は、供恵の提案に従って放課後の地学講義室に赴きました。
そこで待っていたのは自身のクラスメイト、千反田える(ちたんだ える)でした。

えるは「私気になります」が口癖の好奇心旺盛な少女で、ある目的を胸に秘め、古典部への入部を希望したのです。
かくして古典部は再発足し、活動目的がいまいち不明なまま、大小様々な日常の謎を解決していきます。
奉太郎の親友・福部里志(ふくべ さとし)も部室に入り浸り、3人で推理合戦を繰り広げました。
しばらくした頃、奉太郎はえるから相談を受けます。
えるには神山高校を中退した元古典部の伯父・関谷純(せきたに じゅん)がおり、思い出話の途中で彼が泣き出した記憶が、古典部に入る動機となったそうです。
当の本人は現在行方不明中の身で、伯父の消息を案じるえるは、どうしても号泣の理由を知りたいと訴えます。
失踪後7年で死亡宣告が出されることに加え、えるの真剣さにほだされた奉太郎は、渋々手伝いを引き受けました。
その後、里志に片想いする伊原摩耶花(いばら まやか)が押しかけ、正式メンバーが4人に増えた古典部は、33年前に発行された部誌『氷菓』のバックナンバー入手に成功。
断片的に得た情報を繋ぎ合わせた所、関谷が英雄に祭り上げられ、退学した事実が判明します。
ですが肝心の事件の詳細はわからないまま、推理に煮詰まったえると摩耶花はそれぞれ持論を展開。
10月に開催された文化祭にて、文化祭荒らしと戦って退学したのではと主張するえるに対し、教師と揉めて学校にいられなくなったのではと憶測する摩耶花。
検証を進めた結果、古典部メンバーの想像を絶する真実が浮かび上がり……。