今回記事でご紹介するのは住野よるの小説『また、同じ夢を見ていた』のあらすじです。
本作は住野よるが『君の膵臓を食べたい』でデビューした後の二作目にあたり、一週間で1万6千部を売り上げ、累計発行部数は80万部を突破しました。
表題は作者がファンのバンド『10-FEET』の「蜃気楼」からとられています。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『また、同じ夢を見ていた』のあらすじ
主人公は女子高生の小柳奈ノ花(こやなぎ なのか)。
彼女は自分以外の人間を馬鹿だと見下しており、それ故クラスメイトに敬遠され、学校で孤立しています。
口癖は「人生とは~のようなものね」。
そんな奈ノ花の数少ない理解者に挙げられるのが、通称アバズレさんとおばあちゃんでした。
アバズレさんとは奈ノ花が怪我をした猫をほっとけず、助けてくれる人を探していた時に出会いました
おばあちゃんとは血の繋がりがありませんが、気兼ねせず話せます。
友達がいない奈ノ花は、学校にいる間は図書館で本を読み、放課後にアバズレさんとおばあちゃんの家に寄るのを習慣にしていました。
ある日の放課後、奈ノ花がアバズレさんとおばあちゃんの家を訪ねたところ、二人とも留守にしていました。
当てが外れた奈ノ花は時間を持て余し、普段は使わない道を通り、風変わりな廃墟に辿り着きます。
ちょっとした好奇心から廃墟を探索し、屋上に出た奈ノ花は、そこでリストカットをしている女子高生と出会いました。

謎の女子高生は南と名乗り、奈ノ花と会話中に小説を書いていることを打ち明けます。
本が好きな奈ノ花はあなたの小説を読ませてほしいと頼む。
南さんはリストカットを止め、淡い友情が芽生えました。
後日、国語の授業で「幸せとは何か?」をテーマに、隣の席の子と議論する取り組みが始まりました。
奈ノ花はアバズレさんやおばあちゃん、南さんに幸せの定義を相談したものの、三人の答えはどれもばらばらで困惑します。
さらには仕事が多忙な両親が授業参観に欠席せざる得なくなり、約束を反故にされた奈ノ花は激怒しました。
両親と喧嘩した奈ノ花は、南さんが書いた小説を読み、その素晴らしさに感動しました。
南さんは奈ノ花の話を聞き、両親と仲直りを勧めます。
実は南さんの両親は事故で他界しており、二人と喧嘩したまま死別してしまった事を、何年間も悔やみ続けているのだそうです。
「人生は自分が書いた物語だ」と諭された奈ノ花は、両親と和解する約束をして家に帰ったものの、それからしばらくして南さんと会っていた廃墟が取り壊されてしまい……。