今回記事でご紹介するのは岡本螢原作、刀根夕子作画による漫画『おもひでぽろぽろ』のあらすじです。
本作は「週刊明星」に1987年から連載され、単行本全2巻で完結済みです。
昭和40年代の日本を舞台に小学5年生タエ子の日常を描いたノスタルジックなホームドラマは、人情劇を愛する読者の支持を獲得し、1991年に高畑勲監督によってスタジオジブリでアニメ映画化されました。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『おもひでぽろぽろ』のあらすじ
1982年夏。東京在住の27歳のOL岡島タエ子は、姉ナナ子の夫の親類宅に泊まりに行きました。
山形行きの寝台特急あけぼの3号内にて、車窓の景色を眺めながら子供時代の思い出を回想するタエ子。

回想の中心となるのは小学5年生だった1960年代当時の出来事で、父にねだって買ってもらった舶来品のパイナップルのこと、長湯のせいでのぼせたこと、児童劇団にスカウトされるも父の猛反対に遭って子役デビュー断念したこと、不潔で嫌われていた転校生のあべ君のことなどを思い出します。
それから数時間後、駅に迎えにきていた農家の息子・トシオの運転する軽トラに乗って宿泊先に移動。
トシオは明るく実直な人柄の青年で、慌ただしい都会の生活に疲れたタエ子を癒してくれました。
宿泊先の人々はタエ子を歓迎し、ごちそうを持ち寄って温かくもてなしてくれます。
タエ子が田舎暮らしに馴染むのに伴い、トシオとの仲も深まっていきます。
トシオの祖母はそんな二人の様子を見て、「孫と結婚してこっちに引っ越してこないか」と誘いました。
それを聞いた田舎暮らしに憧れていただけの自分の甘さを思い知らされ、衝動的に家を飛び出します。
雨の中を泣きながら歩くタエ子を案じて追って来たトシオは、「祖母の言った事を真に受けるな」と諭し、「仮にそうなってもタエ子はタエ子のペースでやっていけばいい」と慰めてくれました。
この一件がきっかけでトシオに好意を持ったタエ子ですが、恋愛に不慣れなゆえに気持ちを伝える決心が付かないまま、帰りの電車に乗り込んで田舎を後にしました。
行きと同じく座席に腰掛け車窓を眺めていると、走馬灯のように次から次へと思い出がよみがえり、トシオへの恋しさが募っていきます。
とうとう我慢できなくなったタエ子は途中で電車を下り、公衆電話からトシオに連絡し、永住の意志を伝えました。
その後は子供時代の自分や友達の幻影に別れを告げ、再び迎えに来たトシオの車に揺られ、新しい故郷へ帰っていきます。


