2002年、多摩川の丸子橋付近に突如現れ、多摩川で発見されたことから「タマちゃん」と名付けられたアゴヒゲアザラシ。テレビや新聞などにも取り上げられ、一大ブームを巻き起こしたタマちゃんについて振り返ってみよう。


2002年夏、ブームは突然に


多摩川に姿を現した「タマちゃん」だったがその後は、横浜市港北区の鶴見川や西区の帷子川などに出没し、鶴見川で見つかった時には一時期「ツルちゃん」とも呼ばれたことも。海水と真水が混じりあっており、エサとなるエビや魚が豊富であったからなのか、それ以降タマちゃんの姿は約半年間頻繁に見られていた。
その姿を一目見たいと多くの見物客が訪れ「タマちゃんフィーバー」と呼ばれる現象を巻き起こし、一大ブームを作り上げた。

タマちゃんを巡ってのマスコミ・自治体の過熱ぶりも話題に!


タマちゃんフィーバーは、視聴者が撮影した映像がフジテレビに持ち込まれたことから始まった。すぐにニュースやワイドショーで取り上げられると、PR会社「プラップジャパン」がこれに目をつけ動き出す。
マスコミにも多数取り上げられ、2002年8月15日~9月15日の1ヶ月で在京テレビ局135局、全国紙98紙に取り上げられ、雑誌も含めると2ヶ月間の広告換算額は84億円となった。


さらには、多摩川の水質や自然環境などへの関心を高めるきっかけとなったり、横浜市から特別住民票を与えられ『西 玉夫』という名前で西区民として登録されたりと、自治体を巻き込んでの社会現象を巻き起こし、「タマちゃん」は2002年新語・流行語大賞を見事に受賞!

歌にもなったタマちゃん


タマちゃん人気が加速する中、タマちゃんをテーマにした楽曲が多く作られた。『タマちゃん』、『たまたまたまちゃん』、『タマちゃんが来た夏』など、「タマちゃん」を含むわかりやすい楽曲名である。また『タマちゃん音頭』という楽曲にいたっては、同名異曲で7作品も作られている。

タマちゃんのその後


しかしタマちゃんは、2003年3月を最後に神奈川県からは姿を消した。その後は海に還った説も出たものの、その行方は誰も知らない。
「タマちゃんフィーバー」以降、宮城県歌津町で別のアザラシが出没して「ウタちゃん」と名付けられるなど、アザラシやイルカ、オットセイなどが出没するたび、「○○ちゃん」と名付けられるようになった。

ちなみに2015年8月のテレビ番組にて、2002年に発足した「タマちゃんを見守る会」なる団体の、その後について取り上げられた。
最盛期には300人近くいた会員が現在は10数名となったものの、今でも存続していることが判明。いつかまた彼らはタマちゃんと出会えるのだろうか。