90年代後期に旋風を巻き起こした人気グループSPEED。パワフルで洗練された歌唱力とキレのあるダンスはミュージックシーンに衝撃を与えたが、さらに驚いたのはその年齢だ。
デビュー時点でのメンバーの年齢は12歳~15歳。とても小6から中3までの少女たちとは思えない実力と完成度だったのである。
実年齢よりもはるかに大人びた印象を与えたのは、歌詞のインパクトも大きかった。こんな義務教育中の子供が歌っていいの? って感じの過激さだったのである。

【デビュー曲『Body & Soul』で処女喪失?】


1996年8月のデビュー曲『Body & Soul』。ざっくりまとめると、「平凡な毎日に退屈してるから、もっと刺激をちょーだい!そのために、一歩踏み出しちゃお!」って感じの歌詞である。
元気いっぱいに弾ける勢いでスルーされがちだが、歌詞をよく聴いてほしい。


最初のサビ直前のフレーズ、「痛い事とか怖がらないで もっと奥まで行こうよ いっしょに」とある。「処女喪失」をイメージするなと言う方が無理な話ではないだろうか?
サビで「全部脱いじゃえば」「勇気を出して」と畳み掛けるのも、「バージンなんて捨てちゃえば」と同じ意味にしか思えないのである。

【2nd『STEADY』で「愛のない肉体関係」を嘆く?】


続く2nd『STEADY』。そもそも、「STEADY」とは「決まった相手との交際」「確かな関係」を指す単語。
「あの娘にしてるみたいに きつく抱いてほしい」とあるように、思いを寄せる相手には(不特定の)彼女がいるけど、一途な愛で自分が「STEADY」になりたいと願う内容である。

また、「それなりにやってきた経験を嘆く」という描写があるが、嘆くような経験とは一体どんな経験なのだろうか? ズバリ、「愛のない肉体関係」を重ねて来たと考えるとしっくり来てしまうのである。

【ヤリまくりで絶頂を迎える? 3rd『Go!Go!Heaven』】


そして3rd『Go!Go!Heaven』。
タイトルからしてすでに「営みでの絶頂」を思わせる確信ぶりである。
「何処に行けば キレイな愛にめぐり逢えるの」に続くのは「経験だけが増えていく」と言う歌詞。
キレイな愛にめぐり会えずに増える経験……、やはり「愛のない肉体関係」をイメージしてしまう。

そして「Go!Go!Heaven」を連呼する歌詞から、開き直った「やりまくってる感」まで感じてしまうのはゲスの勘ぐりだろうか?
そもそも「SPEED」自体が覚せい剤の俗称だったりするんだから、これらの「エロ要素」も狙い通りだったに違いない……はずである。


2nd『STEADY』でミリオン、3rd『Go!Go!Heaven』でオリコン1位を獲得と、一気に国民的人気グループに駆け上がっていたSPEED。人気の急上昇に伴い、過激な歌詞は鳴りを潜め、「等身大の少女の健全な淡い恋愛」をイメージする歌詞が基本になっていったが、これはその立場ゆえの必然だったのだろう。


もっとも、SPEEDのメンバーはそんな「エロ要素」を実感することもなく、「何が一番大切か 今は分からないまま 踊り続けてるby『Go!Go!Heaven』」だけだったと思われるが…。
(バーグマン田形)