90年代を代表する深夜番組だった『トゥナイト2』。
政治、経済を扱う社会派リポートから、深夜ならではのお色気企画まで、硬軟織り交ぜた幅広い内容で安定した人気を誇っていたテレビ朝日系の情報バラエティ番組だ。
前身の『トゥナイト』から足掛け21年に渡って続いた長寿番組でもある。
長い歴史の中では生放送ならではのハプニングが色々とあったが、中でも、失言でリポーターが番組を降板させられてしまった事件が思い出深い。

乱一世の「CMのうちにトイレへどうぞ」発言でCMスポンサー激怒


騒動を起こしてしまったのは、軽妙なトークを武器に主に“夜のリポート”を得意としていた乱一世。
事の発端は、CMに入る直前のコーナー予告にあった。

「今日のネタはちょっとやそっとじゃ見られません。親類縁者にも電話してください!」
ここまでは、よくある大げさな前フリだったのだが、続けてのひと言が問題となってしまう。
「2分間だけ、皆さんに猶予を与えたいと思います。
トイレに行かれる方はトイレへ。この2分間に行かないと大変なことになりますね」


民放放送はCM収入で成り立っているのは周知の事実。CMスポンサーあってこその番組なのに、その存在をないがしろにする発言をしてしまったのだ。生放送なだけに、編集も効かない。
直後に、乱自身も事の重大さに気付いてCMの後に謝ろうとしたそうだが、現場スタッフは「乱さんのキャラクターだから大丈夫だろう」と、タカをくくっていたという。
結果、この対応が首を絞めることになってしまう……。


失言常習犯だったテレ朝、「3度目の正直」で重い処分に!?


実は、テレビ朝日はこの年にすでに2度も同じ過ちを犯していた。2月放送の『サンデージャングル』と『ニュースステーション』で、CM入り直前に「トイレは今のうちに」とテロップを出してしまい、スポンサー側を怒らせてしまっていたのだ。
日本広告主協会(現・日本アドバタイザーズ協会)からも再発防止の要望書が出され、テレ朝社内でもCM取り扱いに関するマニュアルが配布されたばかりだったという。
スポンサー側からすれば、乱の発言が止めを刺した形となっていたのだ。

一時降板のはずが、復帰までに2年半を要することになった乱一世


放送翌日には、スポーツ新聞のみならず一般新聞までもがこの件を報道。テレ朝も即座に懲罰委員会を開き、関係者の処遇を決定した。
担当役員複数名が減棒・減給、担当プロデューサーは10日間の謹慎という、非常に重い処分だ。
そして、乱も「一時降板処分」となった。これを機にラジオ番組も降板となり、半年ほど干された状態が続く。
当初、乱は番組関係者からは「すぐに復帰できるから」と聞いていたそうだ。しかし、延びに延びて、本格復帰まで2年半も要することになる。おかげで、仕事も収入も激減。禁断のひと言の代償は思った以上に大きかったのだ。


2000年3月の番組復帰時、乱一世はCM入り前にこう語った。
「特集の前にとても重要なお知らせの時間です。心して見るように」
失言を逆手に取った、見事な自虐的な返しである。
現在の乱は、ナレーターを中心に活躍中で、90年代以上に稼いでいるとのこと。しかし、テレビ画面に顔を出す機会が極端に少ないのも事実。失言の余波はまだ続いているのだろうか……?
(バーグマン田形)

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