連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
「なつぞら」126話。田中真弓は18歳になったら朝ドラの主役に抜擢されると人生設計していた

第21週「なつよ、新しい命を迎えよ」126話(8月24日・土 放送 演出・橋爪國臣・田中健二)視聴記録


中島と堀内の関係性が良い
なつ(広瀬すず)が優を置いて出かけるときの困り顔が、しばしの別れを惜しんでいるのか、子供を抱くことに慣れてなくて困っているのか判然としないながら、この微妙な表情には趣があった。

職場復帰したなつを社員一同、拍手で迎える。そこには、セリフなくても神地(染谷将太)もいる。
この撮影の日にほかの場面の撮影もあったのだろうけれど、先日の近藤芳正が参加している風車の会に続き、名優の無駄遣いだなあとも思うが、俳優の参加意識の高さを感じて俳優の株は上がる。

俳優の意識の高さといえば、中島(坂口涼太郎)がなつのいない間に腕をあげていて、なつがそれを褒めると、
堀内(田村健太郎)と合図を送り合うところ。なつのいない間に、堀内が中島の面倒を見ていたことがわかる。坂口と田村は舞台をやっているから、空間を埋めるのが巧いのだろう。
それから、女性社員役の女性の表情も良かった。なつが「夫が支えてくれてますから」とのろけたところでちょっと表情を変えている。
名もなくセリフもないながら、そこに存在する意味を作ろうとしている人たちがいるのである。

田中真弓はなぜ豹変
前回、登場したとき、なつに自分で育てるべきではとチクリと言っていた福祉事務所の村田(田中真弓)。一年後にまたなつが来ると、保育所探しに協力的に。一度は冷たくしたものの、改めてやって来たなつの本気をわかったからとかそういうことなのだろうか。ここを視聴者の自由な想像に任せてしまう決断がすごい。
ちなみに、7月28日に放送された「ぼくらの時代」に野沢雅子と山寺宏一と出演した田中真弓が「18になったらNHKの朝の連続テレビ小説の主役に抜擢される予定を組んでた」と発言。
そのために新劇劇団を受けたが落ちて、テアトル・エコーだけ受かったという。新劇の劇団から朝ドラ主演のケースは、田中裕子がまさにそれである。テアトル・エコーは喜劇を主として上演する劇団で、声の仕事も多く請け負っていたので田中真弓が声優として活躍することになったわけで、朝ドラに抜擢されていたらどうなっていただろうか。

描写不足かなあと思うのは仲(井浦新)も。「僕にも家族がいるから出産の大変さはよくわかってるつもりだよ」と言い出して、妻子がいることがわかる。このセリフは、出産後のなつがすぐに作画監督をやるのは大変だから、じょじょに復帰していけるように気を使う理由になるとはいえ、もう少しひねりがほしかったかも。


坂場のイクメン
なつが働いている間、翻訳の仕事をしながら、育児、家事をやっている坂場(中川大志)。優に話しかける口調が優しそうで、子供好きなのかな〜と好感度アップ。おむつを替える場面もあった。24日、「土曜スタジオパーク」に出た中川大志は子供慣れするために稽古を積んだと語っていた。
坂場のキャラにはブレがない。なにかを徹底的に掘り下げたくなる性分と考えると、子育てに集中して最善を尽くしているのだとナットクできる。
育児ノートもつくって記録を怠らない。しかも、アニメーターとは何かをすでに優に話して訊かせている徹底ぶり。ただ、昭和44年になったにもかかわらずいっこうに調理の腕があがっている様子がないのは気になった。

育児しながら、マコプロにも連絡をとる坂場。いよいよマコプロに入る時期が近づいてきた。ところが、便りの保育園に落ちてしまった。
どうする、なつ、坂場。

マコプロが進めている企画「三代目カポネ」のスタッフは以下。

キャラクター原案 深瀬雄介(NHK)
キャラクターデザイン 横堀久雄(テレコム)
キャラクター表クリンナップ 舘野仁美
色見本作成 今泉ひろみ(シンエイ動画)
ポスターイラスト 辻野芳輝
撮影小道具原画・動画作成 伊奈透光 舘野仁美

キャラクター原案の深瀬雄介は「アニメーション担当」という肩書でクレジットされているNHKのスタッフ。
書籍などでは「アニメーションコーディネーター」。「真田丸」の戦国の風景などもVFXコーディネーターとして担当していた人物だ。「真田丸」のリアルな風景画から、カポネのキャラクターまで幅広く描ける人のようだ。


【第22週あらすじ「なつよ、優しいわが子よ」8月26日・月〜8月31日・土】 


坂場(中川大志)のマコプロダクションへの再就職が決まったものの、愛娘の優を預ける保育園が見つからない。そんな矢先、仲(井浦新)から東洋動画の勝負作「キックジャガー」の作画監督という大役を命ぜられる。なつは保育ママを探そうとするが、共稼ぎ夫婦への風当たりは厳しく、途方に暮れる。そんな中、手を差し伸べたのは茜(渡辺麻友)だった。茜は東洋動画を辞め、子育てに専念していたが、なつには女性アニメーターの先駆者としてがんばってほしいと語る。なつは茜の応援を受け、育児と仕事の両立に励むが、そんなある日、優が熱を出していると茜から電話が入る。仕事を手放せないなつは坂場に電話するものの、連絡がつかない。

127回あらすじ  8月26日・月 放送


産休が明けてアニメーションの会社に戻ろうとしていたなつ(広瀬すず)は、娘の優を預ける保育園がなかなか見つけられないでいた。そんなとき、仲(井浦新)から呼び出されたなつは、作画監督の話がきていると伝えられる。改めて、社長の山川(古屋隆太)と制作部長の佐藤(橋本じゅん)から、スポーツ漫画を原作にしたテレビ漫画の作画監督の打診を受ける。この主人公の境遇は、なつになら描けるはずだと言われて…。
「なつぞら」126話。田中真弓は18歳になったら朝ドラの主役に抜擢されると人生設計していた

「なつぞら」126話。田中真弓は18歳になったら朝ドラの主役に抜擢されると人生設計していた

128回あらすじ  8月27日・火 放送


娘の優を預ける保育園が見つからないなつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)。個人で保育を引き受けてくれる保育ママを探すため、駆けつけた麻子(貫地谷しほり)とともに近所に配るビラを作っていた。そこへ明子を連れた茜(渡辺麻友)と下山(川島明)が訪ねてくる。神地(染谷将太)から話を聞いた茜は、誰よりもアニメーションの仕事の厳しさを知る戦友として、なつが働いている間、自分たちが優を預かると申し出て…。
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武