「,」(カンマ)と「.」(ピリオド)の不思議な関係
1998年のアルゼンチンの新聞。ニューヨークの株価、当時7580ドルだった
夏休み。今年は海外旅行に出かける人が、アジア方面を中心に増えているという。
じりじりと照りつける東南アジアの海の太陽、カラッと乾燥した西欧のレンガの町並み、緑たっぷりの北欧の森と湖……想像するだけで楽しくなってしまう。

海外旅行といえばショッピングもお楽しみのひとつ。買い物していて時々ドキッとするのが、日本と海外の、お値段の表示方法の違い。日本では「1万円」を「\10,000」と書くけれど、ヨーロッパでは「1万ユーロ(約150万円)」を「EUR10.000」と書くことが多い。桁区切り記号がカンマ(,)ではなく、ピリオド(.)なのだ。ジュッテンゼロゼロゼロユーロ、えー、この指輪たったの10ユーロ(約1500円)なのお、やす〜い、なんて声を上げちゃうと、ちょっと恥ずかしかったりする。


旅行で恥をかかないように、どの国がどうなっているのか、各国の経済関係のウェブサイトを調べてみた。まずはアジアの国々。韓国、中国、台湾、香港、インド、みんな日本と同じカンマ(,)を使っている。次に英語圏のアメリカ、イギリス、カナダを調べると、こちらも日本と同じ。一方、ドイツ、イタリア、フランスではピリオド(.)。そして、スペイン、メキシコ、アルゼンチンといったスペイン語圏の国々では、カンマだったりピリオドだったり。
両方が混在していて、ややっこしい。

さらに調査を進めるが、言葉が分からず調査は徐々に困難に。スイスではカンマでもピリオドでもない「‘」(アポストロフィ)。北欧のスウェーデン、ノルウェーでは、何も書かずにスペースを空けるだけ。そしてギリシャは……ギリシャ語がわからん! 調査断念。

アフリカの国々はどうか。
スワヒリ語となると完全にお手上げなので、ケニアでもらった両替所のレシートを見てみると、旧宗主国がイギリスだからなのか、英語圏の国々同様カンマ(,)を使っていた。

さて、こんなにバラバラで旅行者は混乱しないのか。某大手旅行代理店の広報さんに聞いてみたのだが「海外で小数点とカンマが逆になっていることがある事実に理解をしかねます」と醒めたお返事。別に旅行者に混乱はないらしい。うーん、筆者の考え過ぎだったのか、役に立たないコネタを書いてしまったのか……。

ところで、桁区切り記号にピリオド(.)を使う国々では、小数点としてカンマ(,)を使うのが普通。
たとえば、円周率を「3,14……」と表現するので、ちょっと違和感がある。でも実は、日本人も小数点にカンマを使うことがある。「0コンマ3秒遅かっただけだよ……」運動会で負けたとき、こんな会話してませんか? コンマとカンマ、発音が違うだけで、元々同じものなのだそうです。
(R&S)