たとえば、時給800円で6時間働き、時給1000円で残業2時間。
800×6+1000×2=6800
で、答えは、6800円。
頭の中、あるいは、紙に書いて計算するとカンタンなのだが、コレ、計算機でやろうとすると、エライことになってしまう。
試してみてほしいのだが、計算機だと、×÷を+−より自動的に先にやってくれず、頭から順に計算していくため、何も考えずそのまま入力していくと、「800×6+1000×2」の計算の場合、(800×6+1000)×2=11600と、なんと、4800円も違ってしまう!
「このくらいの計算、暗算でいいじゃん」と言う人もいるだろう。だが、数十人分、1カ月分計算するとなると、暗算ではやりきれない。
また、「表計算ソフトを使えば」という人もいるだろうが、それも慣れてなければ、やっぱりめんどうくさい。
計算機で計算できないのかと考えたとき、その女性も、「たぶん普段使ってない、アソコに何か秘密があると思うんだよねー」と言うのだ。
アソコとは、卑猥な部分でもなんでもなく、いろんなアルファベットが並んでいるボタン。思えば、「AC」「C・CE」以外、使ったことがないが、他のボタンも何かスゴイ技を持っているのではないか。
カシオ計算機株式会社の広報担当者に聞いてみると、「学校教育用や関数電卓は別ですし、また、すべての電卓に同じ機能キーがあるわけではないですが、カシオに関して言うと……」と、ボタンの機能を教えてくれた。
まず、問題の「M」部分。
「Mは『メモリー』の意味で、『M−』はメモリーマイナス、『M+』はメモリープラス、『MR』はメモリーリコール、『MC』はメモリークリアなんですよ」
メモリー!? つまり、部分的に覚えさせ計算していくということか。じゃ、具体的に冒頭の計算の場合は、どうすれば?
「まず800×6の後に『M+』を押します。
丁寧な説明を受けながら、一緒に計算機を打ってた私、思わず、「なりましたなりました! 計算機スゴイ!」と大興奮で叫んでしまった。
つまり、先に計算したい×÷の部分や( )内は、「M+」「M−」などでいったん記憶すればいいということのよう。
「『M+』や『M−』は、“一時的な数字置き場”なんですよ。これをうまく使えば、2つの計算でも3つでも4つでも、ずっと足したり引いたりしていけるんです」
もう、目からウロコ!! ちなみに、メーカーによっては「MC」は、メモリーも含めて「AC」(オールクリア)になるところもあるそうだ。
「どうしても皆さん、計算機の説明書は読まないんですよね(苦笑)」
と言いつつ、HP上にある電卓について例題をまじえて説明している個所を教えてくれた。
単純なようで、全然わかってなかった「計算機」の底力を知りました!
(田幸和歌子)