米作りの全過程をバケツで体験できるセットとは
(上)100粒のひとかたまりが24、これで2400粒! (中)2400粒入った平均的なごはん茶碗一杯分 (下)一株分にあたる800粒
ごはん茶碗一杯には何粒のお米が含まれているかご存知だろうか。
もちろん茶碗の大きさにもよっても違ってくるが、平均的な大きさのものでその数、なんと2400粒なのだそうだ。
毎日、食べている米ではあるが、知っているようで知らないことはたくさんある。

日本人の主食であるお米を育てることで農や食に関心を持ってもらおうと、JA全中(全国農業協同組合中央会)が平成元年からバケツで稲を育てる栽培セット「バケツ稲づくりセット」を小学生を中心とする希望者に送料のみ負担で無料配布している。

栽培セットは、一株(約3本)の稲が育てられるようになっていて、種もみ、肥料、育て方の解説、観察ノートが入っている。種もみは芽が出ない種があることも考慮して、多めに20粒入れているのだそうだ。栽培するお米の種類は「日本晴」だが地域により県の奨励米になる。

田植えなどの農業体験とバケツ稲づくりの大きな違いは、土の準備から水の管理、害虫やスズメの対策まで、日々の作業を自分でやる必要があること。
全ての過程を自分達の手で行うことで、田植えや収穫の喜びだけでなく、農家の苦労や稲の生長の様子などがよく分かるのだ。

「バケツ稲づくりセット」は、学校などの団体のほか、親子で楽しみたい個人でも申し込むことが可能。なかには、老人ホームや病院などで、土をいじって植物を育てることで元気が出る、癒し効果がある、と申し込んでくることもあるのだそうだ。

JA全中のバケツ稲づくり事務局ではHPも開設。稲の育て方や成長の様子、収穫方法や脱穀、精米、藁(わら)の利用法まで細かく解説している。

「天候にもよりますが、平均して一粒の種もみから成長した苗からは、約200〜300粒、バケツ稲1セット、1株(苗3本)で約800粒ほどが収穫できます。
3株でだいたい茶碗1杯分でしょうか。上手に育てれば1株で1500粒〜2000粒収穫できることもありますが、ご飯茶碗1杯にはちょっと足りないですね」
と事務局の馬渡さん。

収穫した米は、茶碗の縁やわりばしを使って自分達の手で脱穀、ビンの中で棒をついて精米するなど最後の最後まで子供たちだけでも作業できる。

「観察や、稲づくりについて研究した結果をまとめて、その成果を競うコンテストも行なっています。収穫した後の稲藁を利用したり体験をお芝居にしたりする子供たちもいます。収穫したお米を一粒一粒ちゃんと数えて何粒収穫できたのかを数えるお子さんも多いですね」と馬渡さん。


お米は熱帯地方原産のものなので、4月の中旬から5月上旬に暖かくなってから栽培を始めるのがおすすめとのこと。

今年は45万2千セットを用意しているとのことだが、まだ配布開始からあまり日が経っていないので余裕はあるとのこと。インターネットでも申し込みを受け付けているので興味のある方は是非。一人につき配布は1セット、親子など個人でも受け付けてもらえ、予定数に達し次第配布は終了するそうです。(こや)