関西夏の名物「アンペイ」って何だ
手前のアンペイはノーマルタイプのもので、奥のアンペイがヨモギ入り。ヨモギ入りの方が良く売れるそうです。
関東にくらべ、一般的に関西人はあまりハンペンを食べないと言われている。
低カロリーということで若い人はよく手に取るが、年配になればなるほどハンペンへの態度が硬化する。
需要ゼロとまではいかないのだが、関西におけるハンペンの立場は弱いのだ。
しかしハンペンに良く似た食べ物は存在する。それが「アンペイ」だ。

アンペイとはハモなどの白身魚を丁寧に丁寧に練り、それを蒸して仕上げるカマボコに似た練り物の事。つなぎはほとんど使わない。
姿は四角く白い固まりで、一見ハンペンにも見える。同じものだと勘違いする人も多いそうだ。
しかしハンペンは、柔らかい食感を出すために山芋などのつなぎが必須。さらに湯がいて仕上げるなど、アンペイとハンペンは作り方からして異なる存在である。

そんなアンペイの食感は、フンニャリツルン。ハンペンより噛み応えはあるが、かといってカマボコほど主張が強いわけでもない。
一番スタンダードなやり方としては、やっぱりワサビ醤油。
マヨネーズや七味で食べる人も多いが、これはどちらかというとビール向き。ご飯や日本酒と合わせるのならワサビ醤油が一番ですねと、お店の方。
ちなみにそのまま食べても美味しい。かすかに甘く優しい風味なのだ。
板ワサで冷酒を一杯というのも粋だが、暑い日にアンワサで一杯というのもなかなかオツな味である。食べたことのない方はぜひ一度どうぞ。

なお、どんな食べ方をしてもいいが、忘れていけないのはよく冷やすと言うこと。冷蔵庫や氷水でキュッと冷やしておくのがアンペイを美味しく食べるコツである。
なのでアンペイは夏にのみ味わえる関西夏の風物詩的一品……なのだが、最近はアンペイを知らない人も多いのだと、お店の人は言う。なぜなら賞味期限が短く、スーパーなどで販売されないため。

主な取り扱いエリアはカマボコ専門店などの小売店に限られてしまうため、「これなに?」と聞いてくる人も多いのだとか。
カマボコ屋さんの前に冷蔵ケースが並び始めると、もう夏やなあと感じる、アンペイとはそんなそんな夏の風物詩。
どうぞ廃れないように守り続けていただきたいと願うばかりだ。
(のなかなおみ)
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